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グロービス流リーダー基礎力10-④ 組織の文化・クセを理解する力

田久保 善彦 リーダーシップ領域

16/01/22


拙著『27歳からのMBA グロービス流リーダー基礎力10』(東洋経済新報社、2015)の中身について、話をしています。これまでに、取り巻く環境を理解する力と会計から企業を理解する力に関して説明しました。今回は、組織の文化・クセを理解する力を取り上げます。

たとえば、「会議は三時から」と言われても、誰も三時に集まらない会社があります。また、部長のことを「何々部長」と呼ぶ会社もあれば、「何々さん」と呼ぶ会社もあるでしょう。このようなことはその企業の文化を表している要素を言えます。また、総務や経理、営業、開発のように機能別に分かれている会社や、それらをすべて含んだカンパニーがいくつもあって、その集合体によって成り立っている会社がありますが、そうした組織形態の違いは、組織の文化やクセ、風土に影響を与えます。

文化・クセは組織に染みついているものなので、良くも悪くも文化を見極める必要があります。そうしたことを理解しないままに、期待のホープとして新しい部署にやってきて初日からいろいろと働きかけてみても、皆から白い目で見られて終わるということもあり得ます。リーダーは、自分が任されたチームを含む課や部、自分の会社が、どのような文化の中で動いているかを知ることが大切です。知らないことには、変えようもありませんし、物事も動いていきません。

社内に目を向けると言うと、最近では、これをネガティブに捉える人が多くいる気がします。しかし決してそういうことはなく、社内のメンバーで事を進める以上、その人たちの行動特性をきちんと理解することは大切です。居酒屋へ行くと、若手のリーダーが「うちの部長はどうだ、うちの課長はどうだ、あの人たちのせいで文化が良くない」などと話しているのが漏れ聞こえて来ることもあります。しかし仮に彼が五年間その会社にいるとすれば、彼は既にその文化の一端を担っているわけです。それにも関わらず自分の会社の文化について文句を言うということは、天に向かって唾を吐いているようなものです。「会議の時間に皆が数分遅れてくるのは良くない」と文句を言いつつも、あまり咎めない方が楽だからずるずるとその文化の中にいる。本当に良くないと思うのならば、既に戦っているでしょう。戦っていないということはその文化を認めていることに等しいわけですから、十分に文化の担い手の一人となっているのです。

良い文化を持っている会社として、最近では、星野リゾートがメディアによく取り上げられています。全国でいろいろなホテルを経営している会社で、私も何か所か訪れたことがあります。どこのスタッフも皆ニコニコしていて、「私はサービスが大好きです」という雰囲気が醸し出されています。これは明らかに、星野リゾートという会社の文化なのだと思います。また名古屋に所在する業績がいい中小の製造業の会社へ行くと、普通だと掃除しないだろうというところまできれいにされていることがあります。「掃除もできないやつに良い商品を作ることなどできない」といった、ポリシーや文化を感じます。

今日の話をまとめます。
今日は、組織の文化・クセを理解する力について話しました。組織を作っているのが人間である以上、良い部分も悪い部分も文化・クセとして根付き、蔓延します。そうしたことにきちんと向き合って理解することなしに、会社で物事を進めていくのは難しいと思います。

分野: リーダーシップ |スピーカー: 田久保 善彦

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