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京セラ哲学から見た従業員モチベーション向上の7つのカギ3

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

15/12/04

【テーマ:京セラ哲学から見た従業員のモチベーションを向上させるための7つの鍵】
⓪概要 ①パートナーとして迎え入れる、②従業員に心底惚れてもらう、③仕事の意義を説く

1  はじめに
このシリーズでは、「京セラ哲学から見た従業員のモチベーションを向上させるための7つの鍵」とい
うテーマでお話ししています。これは、稲盛和夫『従業員をやる気にさせる7つのカギ』という著書をベースにしております。今日はその第三番目の「仕事の意義を説く」というお話です。

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2 復習
はじめに、これまでの復習をしましょう。第1は「従業員をパートナーとして迎え入れる」という話でした。すなわち経営者と従業員がイコール・パートナーということで、Win-Win関係で経営を行うということが大切であるということです。そして、第2が、「従業員に心底惚れてもらうこと」すなわち「あの社長さんは人徳があって立派な人なので、あの人だったら付いて行きたいな」というように思わせるということです。つまり、これは「あの社長さん、いいな」という雰囲気を作るという、どちらかというと心情に訴えるという「感情の側面」のお話でしたが、今回はもっと「合理的・理性的な側面」の「仕事の意義を説く」というお話です。

3 仕事の意義を説くことと社会貢献・成功・幸福
この「仕事の意義を説く」ということは、自分の行っている仕事が社会的に意義のある仕事である、ということを従業員に説くというものです。自分の行っている仕事が社会のためも、自分のためにもなると思えれば、やる気が出ますよね。私たち人間は、どのようなときが一番幸せでしょうか。また、人生の成功とは、どのようなことを言うのでしょうか。これに関して、松下幸之助氏は、「その人が持っている能力(個性)を最大限発揮できたときが、一番の成功であり、かつ幸せである」と述べています。ということは、自分が行っている仕事は、自分にとっても良いことであり、なおかつそれが社会の役に立っていると感じると同時に、自分の能力(個性)を最大限に発揮しているということを自分で感じられたならば、その人にとって生き甲斐があり、幸せなのではないでしょうか。

社会の中においても、家庭の中においても、自分が行っていることによって、喜んでくれる人がいるという、自分の存在意義や価値を感じられる体験は大きいものです。このように、人生における本当の成功とか幸せは、自分が努力して行っていることが、自分のためにもなるし、社会のためにもなることであると言えます。

4 仕事の意義とモチベーション
こう考えると、一番の成功や幸せは、地位が高くなるとか、報酬がいっぱいもらえるとか、ということではなく、自己の能力(個性)を最大限に発揮し、それが社会に役立っているというところにあります。それゆえ、まずは従業員が行っている仕事の社会的意義を従業員に話し、従業員がそれを理解し、モチベーションを高め、自分の持てる能力を最大限発揮してくれるような働きかけをすることが必要になります。

5 労働観
このように成功や幸せを考えた場合、経営者も従業員も共に成長していく必要があります。従業員が能力を高めて成長するというのは自分の喜びにも繋がります。
このことに関連して、「労働観」というものがあります。「人間は、なんのために仕事をしているのか、ないし働くのか」という労働観に関する問いに対する答えとして、代表的なものに、例えば、①「労働対価説」と呼ばれる考え方があります。これは、主に西洋流の考え方で、「お金を得るために」、「パンを買うために」労働するという考え方です。これも生きるための一つの考え方ですが、レベルが低い考え方です。この対極にあるのが、②「労働使命説」です。「この仕事が私の使命だ、天職だ。」という考え方です。「自分がやりたいことで、なおかつ社会に貢献することを行う」というものです。これらのうちどちらの考え方が良いでしょうか。勿論、自分の天職で社会に貢献できることが良いでしょう。では果たして今自分がしている仕事はこの考え方に該当するのか。これらのちょうど中間にある考え方が、③「労働職人説」です。「天職ではないけれども、対価を得て生計を立てながら自分の仕事にもプライドを持ってやる」というものです。「労働対価説」は、お金のために働いているという、どちらかというとお金に使われているタイプの考え方です。逆に、「労働使命説」は、例えば、ボランティアなど、「私財を投げ打ってもこの社会のためにやる」というような考え方で、お金を自己の目的のために使用しているというタイプのものです。そして、その中間すなわちお金をもらいながらも、嫌々ではなく、ある程度自主的に社会のためにと考える普通の人の考え方です。お金は生きていくため、生活するためには、ある程度は必要だと思いますので、自分の仕事にプライドを持ちながら、人の役に立ち、なおかつお金がもらえるという考え方が少なくとも、労働対価説に立っていないだけいいのではないでしょうか。

6 むすび
今日は、従業員のモチベーションを向上させるためには、仕事の意義を説き、理性的に理解してもらうということが非常に重要であるというお話しでした。

〔参考〕稲盛和夫『従業員をやる気にさせる7つのカギ』

分野: コーポレートガバナンス 財務会計 |スピーカー: 岩崎勇

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