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京セラ哲学から見た従業員モチベーション向上の7つのカギ2

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

15/11/03

【テーマ:京セラ哲学から見た従業員のモチベーションを向上させるための7つの鍵:①:パートナーとして迎え入れる】

1 はじめに
このシリーズでは、「京セラ哲学から見た従業員のモチベーションを向上させるための7つの鍵」というテーマでお話していきたいと思います。これは、稲盛和夫『従業員をやる気にさせる7つのカギ』という著書をベースにしております。そして、今日は、このうちの「従業員をパートナーとして迎え入れる」についてお話をしたいと思います。
【従業員モチベーション向上の具体的な7つの方法】
①従業員をパートナーとして迎え入れること②従業員に心底惚れてもらうこと③仕事の意義を説くこと         
④ビジョンを高く掲げること⑤ミッションを確立すること⑥フィロソフィーを語り続けること
⑦自らの心を高めること

2 概要
ここではまず、簡単に前回の復習をしましょう。
① リーダーの役割
まず、経営者はリーダーシップを発揮して会社を正しい方向に導くことが重要です。そしてさらに、従業員を経営者と同じ気持ちにさせ、気持ちよく働いてもらうということも大切です。すなわち、従業員に自己の持つ能力を存分発揮してもらうことで、従業員も経営者も会社も社会全体もハッピーになるということを理想としています。そのためには、リーダーの役割の一つとして、特に後者の従業員を経営者と同じ気持ちにさせて働いてもらうことが重要ということです。
② 従業員のモチベーションを向上させるための7つの鍵
 この場合、「従業員のモチベーションを向上させるための7つの鍵」として、①従業員をパートナーとして迎え入れる。②従業員を心底惚れてもらう。③仕事は社会的にどういう意義があるのかについて説く。④ビジョンを高く掲げる。町内一、県内一、日本一というように、徐々に現実的にも夢のある方向に会社をもっていくということです。⑤ミッションを明確にする。すなわち、なんのために会社を経営するのか、なんのために生きるのか、働くのかというミッションを明確にする。⑥フィロソフィ(哲学)を語り続けることです。経営者の哲学や考え方を従業員に語り継いで理解してもらい、ベクトルを合わせて一緒に働いてもらうということ。⑦自らの心を高める。抽象的な表現ですが、自分の器を大きくすることです。
③ 人の器
自分の器を大きくするというのは、考え方をどれだけ自分より大きく外に広げられるかということです。一番中心にあるのは、勿論自我です。食べたいとか飲みたいなどの欲求があります。それが一番コアになっている部分です。これは否定してはいけませんが、それだけに留まっていると普通の凡人です。それを家族や親族、或いは会社や学校全体へとどんどん広げていきます。町内会、或いはもう少し大きく県、日本、もっと広げて地球全体とか或いは宇宙全体へとどこまで自分の心を広げられるかが心を高めることの具体例です。それが大きくなったのが自己完成の完成形です。自分の自我だけではなく利他、社会のために心がどれだけ大きくなるのかというのが心を高めるということになります。

3 従業員を自分のパートナーとして迎え入れること
今回は、第一番目の「従業員を自分のパートナーとして迎え入れる」ということですが、前回も少しお話しましたが、会社を大きくしたいという場合には、従業員をどうしても雇わなくてはいけません。その際の従業員の取扱い方として英米でよく取られているのが「形式主義」です。すなわち明確で法的な雇用契約に基づいて待遇を決め、そのような法的な形式に従って全てのことを処理します。このような形式主義はとてもドライな関係になります。そこで京セラでは、このような形式主義によらず、実質主義に基づいて、従業員の心や気持ちを重視し、従業員を「パートナー(共同経営者)」と(同じようなものと)して迎え入れます。

4 京セラの考え方の特徴
① 京セラ哲学
京セラで特徴的なのは、第1に、京セラフィロソフィという哲学があることです。
② 従業員持株制度と非世襲制
第2に、従業員に株式を持たせることです。自分が働いて会社が大きくなると株価も増え、配当ももらえます。
③ 非世襲制
第3に、京セラの経営は世襲制ではないことです。普通は親の代から子に、さらに孫にと事業が世襲されますが、京セラではこういうのはしません。自分のための利益ではなく、全従業員のためというのが理念として入っています。
④コンパによるコミュニケーション
第4に、コミュニケーションをとって従業員と経営者のコミュニケーションを上手くして、従業員に快く働いてもらうために、コンパを必須にしています。そこに社長等の役員も出席し、従業員と対等に酒を飲み交わします。このようなコミュニケーション手段を上下の隔てなく採用し、ベクトルを揃えるために使っています。
⑤ 経営理念
第5に、会社の理念として、従業員の物心両面の幸福のため、及び社会の進歩発展に貢献するために会社があるというものです。そもそも会社経営は従業員のためにあると考えています。通常、株主のためとかお客さんのためと考えますが、内部で働くのは従業員ですから、従業員を大事にすると従業員がお客さまによく売ってくれるという好循環ができるようになっています。その結果、よく売れ、業績が上がれば、株主のためにもなります。そのため従業員を単なる材料と同じようにではなく、共同経営者と同じように取り扱うことが重要です。経営者と同様に責任もとってもらうけれど、様々な面で従業員を大事にするということが京セラの特徴です。それによって働くモチベーションを高め、会社を発展させていくということを目指しています。

5 まとめ
従業員のモチベーションを高める一つとして、「従業員をパートナーとして迎え入れる」という考え方が重要です。たとえ実際にパートナーではなくても、パートナーと同じように従業員のことを考えるというのが非常に重要であるというお話でした。


〔参考文献〕稲盛和夫『従業員をやる気にさせる7つのカギ』

分野: コーポレートガバナンス 財務会計 |スピーカー: 岩崎勇

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