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ガバナンスについて

谷口博文 公共政策、地域政策、産学連携

15/10/21


今回は、ガバナンスについて話します。

もともとガバナンスとは、「治める」や「統治する」を意味するgovernから派生した単語です。governorであれば、「総督」や「知事」といった意味になります。governanceは、日本語では、政府による「統治」や「治め方」などと訳されます。最近では、民間の企業における経営管理がコーポレートガバナンスと呼ばれ、よく使われるようになりました。

コーポレートガバナンスにつき、最近、動きがありました。東京証券取引所がこの二月、コーポレートガバナンス・コードを示したのです。ここでは、コーポレートガバナンスの定義がなされています。株主あるいは顧客、従業員、地域社会など、会社に関係する人や組織(ステークホルダー)の立場を踏まえた上で、会社として透明・公正・迅速・果断な意思決定を行う仕組みのことをコーポレートガバナンスと呼んでいます。

このコードは、市場に出てくる上場企業を対象としています。粉飾事件や不祥事が起きないようにしっかりした組織運営をこれらの企業にやってもらうための、一つの自主的なルールです。企業である以上、収益力を上げることは当然ですが、単に稼ぐだけではいけません。短期的ではなく中長期的に企業価値を上げ、株主やお客さんのニーズを満足させる。従業員の雇用を確保する。それらを通して、社会の信用を得て地域に貢献する。こうした適切な行動をとるために、株式会社の組織をどのようにすればよいかということが、このコードの中に書かれています。もっとも、もともと会社法に、株式会社が最低限やらなければならないことは定められています。さらに細かいルールを一つ一つ書いて行くと、企業が動きをとりにくくなります。企業家精神を発揮して新しいリスクに挑戦して行かなければ活性化しませんので、身動きをとれない状態というのは企業の姿としてあまりよろしくありません。

以上の前提のもと、今回のコーポレートガバナンス・コードには、次のようなことが書かれています。たとえば、できるだけ情報を公開して皆にわかりやすくしましょう、あるいは、独立社外取締役を二名以上にしましょう、取締役会では自由活発な議論を行いましょう、といった按配です。このように。経営陣が馴れ合いで自己完結するのではなく、上場企業が外の目を中に取り入れて、監査役が独立した客観的な立場で判断する状況を推しています。

このコードは、アベノミクスの一環である日本再興戦略の一環に位置付けられます。端的に言えば、企業が攻めのガバナンスをもってどんどん頑張ることを薦めています。これまでは新しいことをやって責任を問われることになるのを嫌がって、攻めにくい状況にありました。むしろ積極的に外の人の目を取り入れて仮に失敗したとしてもそれは仕方がなかったと説明できる体制にすることが、今回のコードの考え方です。こうしたガバナンスの考え方をコーポレートガバナンスのうちに取り入れることそのものが、アベノミクスの成長戦略の一部となっています。

今日の話をまとめます。
今回は、民間のガバナンスについて話しました。組織の根本に遡ってそのあり方を考えた場合、組織がどのように動くかということが、改革の中心的な鍵となります。今度は、パブリックのガバナンスがどうあるべきかということについて考えを巡らせなければなりません。次回は、パブリックガバナンス改革について説明します。

分野: パブリックマネジメント |スピーカー: 谷口博文

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