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学び方を学ぶ(番外編)フィードバックの仕方

荒木博行 戦略思考

15/09/18


前回は、拙書『27歳からのMBA グロービス流ビジネス勉強力』(東洋経済新報社、2015)の第五章「フィードバックを受ける」について説明しました。今回はその番外編として、フィードバックの仕方について話します。

私自身、ビジネススクールで教えている時には、フィードバックをすることを学生にしばしば促しています。受講生同士でフィードバックを互いにしてもらうこともありますが、フィードバックの巧拙の差が如実に見られます。前回に話したようにフィードバックの受け方も大切ですが、その裏返しであるフィードバックの仕方もまた重要です。

まず、縦軸に抽象と具体、横軸に良い点と改善点という2軸からなるマトリクスを考えてみてください。左上が「総じて感じた良いイメージ」、左下が「具体に良く感じたポイント」、右下が「具体的な改善点」、右上が「改善の大まかな方向性」となります。

150918_図.jpg

フィードバックをする際には、この流れのままに言葉を回して行くとよいでしょう。まず、左上からコメントをします。「全体的にすごいポジティブな印象を受けた」「ポジティブなエネルギーをもらった」「姿勢が良かった」など、相手にとって聞きやすく、受け入れやすいことを話すのです。
次いで、具体に良く感じたポイントへ進みます。「なぜかというと、はじめにこういう話から入ったからだよね」「この資料のここの話はすごく分析してあるよね」など、具体的なことを伝えてあげます。
そして、次に具体的な改善点を述べます。「一方で、ここの話はこうした方がいい」「イントロのところも、もう少しこんな感じで話した方がいい」などです。
その後、抽象の改善点へ行きます。「いろいろ言ったけど、あなたは総じて、こんなところを意識するとより良くなるよね」など、改善点の方向性を整理して話します。
そして最後に、もう一度最初のポイントに戻り、「でも、最初にも言ったけれど全体としてこういう風にポジティブだったから、ここを意識してこれからもやってね」と締めていくのです。
このサイクルであれば、相手も感情的に受け入れやすく、また、改善しようという意識も生まれやすくなります。さらに、具体的な改善点を把握することもできます。

フィードバックがあまり上手ではない人の手にかかると、具体的な改善点や抽象的な改善点から指摘してしまいます。「お前のプレゼンには元気が足りないんだよ」「分析が浅いんだよ」などと最初から話すと、受ける側は感情的な構えが生まれてしまいます。言う側としては具体的な改善点を指摘してあげたいという親心があったりもしますが、「受け入れてもらった」という手ごたえがないので、どうしても素直に聞き入れることができにくくなります。
その他にも、抽象的なことは言えるものの、具体的なポイントをまったく言えない人が見受けられます。こうしたフィードバックは、決していいものではありません。改善点にせよ良い点にせよ、具体的にきちんと指摘してあげることができないと、次の行動につながりません。フィードバックをする側は絶えずそういう意識をもって物事を見ていないと、アバウトに「頑張れ」としか言えなくなるのです。

分野: リーダーシップ |スピーカー: 荒木博行

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