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学び方を学ぼう⑩経験から学ぶ

田久保 善彦 リーダーシップ領域

15/08/24


引き続き、拙書『27歳からのMBA グロービス流ビジネス勉強力』(東洋経済新報社、2015)の内容について話をさせていただきます。

これまで、本や新聞、雑誌、インターネット、テレビなど、様々なメディアから学ぶ方法について話してきました。今の子供たちは、生まれながらにこれらの数多くのメディアに囲まれており、小さい子供でもスマホをパッパッと扱うことができます。先日電気屋さんに行った際には、4Kのテレビの画面をタッチパネルと考えて、指でなぞって動かそうとしている子供を見ました。中学生ともなれば、レポートを課せられた際に、スカイプでミーティングをして相談することもあるでしょう。スカイプの調子が悪ければ、グーグルハングアウトを立ち上げて、ファイルを共有しながら皆で作業する。そうしたことが、今や普通に行われています。彼らはあと数年で、会社へ入ってきます。数十年前であればFAXを使えない偉い人もいたでしょうが、これからはそうもいきません。進歩を続ける情報ツールに対して敏感でい続けないと、「~というデバイスや~というソフトも使えない部長なんだ」などと新入社員に言われてしまいます。

今日はビジネスパーソンとして最も重要な、経験から学ぶことについて話を進めます。本当に経験から学ぼうとした際には、単に物事を経験しているだけではだめです。経験したことをきちんと振り返って、この経験にどのような意味があったのか自分なりに消化するプロセスを備えていないと、経験しっぱなしとなります。そうした経験からは、学びを得ることはできません。経験を自分なりに咀嚼して学びのために消化することを、まずは強く意識してください。

それから、手を抜いた経験から学べることはあまりありません。今の自分の能力を超えようと努力し、実際に超えたところが、学びのための経験となります。中学生の時を思い出していただければ、身長が伸びる際に膝が痛くなった経験があるかと思います。これを一般に成長痛と呼びますが、社会人になってからの能力開発においてもこの成長痛が重要です。今の自分の能力では不可能そうなところに挑戦すると、痛みを感じます。その痛い部分こそが、成長する箇所です。自分の能力で軽々とこなす仕事ばかりをしていても、成長するところはありません。つまり、経験から学びたいと思うのであれば、自分の関節がぎしぎしと音をたてて痛むような経験をまずはとりにいかないといけません。

痛みを伴う経験は、自分の成長を生みます。痛くて苦しいけれども、その後には、できなかったことができるようになる世界が広がっています。階段をひとつ昇ることとなりますので、見える範囲が広くなります。痛みを伴う経験の積み重ねが自分の成長につながり、自分がやりたいことの実現につながる。お子さんをお持ちの方であれば、我が子に対して「チャレンジしろ、最初からあきらめるな」などと言うことが多くあるかと思います。そうした言葉を、自分自身でそのまま飲み込みましょう。チャレンジを伴う経験からしか、学ぶことはできません。

また、すべてのことから学べるという意識をどこまで強く持てるかという点が、非常に大切です。たとえば、今年入ってきた新入社員から何かを学ぼうとして、これまでコミュニケーションをとってきましたか。新入社員=何も知らない人などと思っていませんか。世代がまったく違うということは、自分とはまったく違うことを知っているかもしれないということです。真剣に対峙して真剣に学ぼうと思えば、新入社員からも何かを引っ張り出すことはできます。それすらもしないでステレオタイプに陥っていると、彼らからは何も学ぶことはできません。新入社員に限らず、子供やお客さん、ありとあらゆる人や事象から、様々なことを学べる。こうした意識を強く持てるかどうかで、たくさんの学びを生み出せる人か否かが決まるのです。

分野: リーダーシップ |スピーカー: 田久保 善彦

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