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学び方を学ぼう⑦本の読み方3

田久保 善彦 リーダーシップ領域

15/08/11


引き続き、拙書『27歳からのMBA グロービス流ビジネス勉強力』(東洋経済新報社、2015)の内容について話をさせていただきます。前々回、前回と同様に、本の読み方について説明します。

私自身、大量の本を読むとともに、その感想をSNSなどにあげています。そうすると、「どうやって本を選んでいるんですか」などと聞かれることがあります。インターネットで買うこともありますが、私は週に最低一回は実際に本屋へ足を運ぶようにしています。いわゆる行きつけの本屋さんがあるのです。本んでは、店長さんなりなんなりが本を選んで入荷し、どの本を平積みにするか、どの本を一番目立つ棚に置くかなどを決めています。つまり、本屋ごとに癖が存在するのです。お気に入りの本屋さんをつくると、少しの変化もわかるようになります。そうすると、「何か新しい本が入ったな」、「この新しい本はお気に入りの本屋さんのお勧めだから手にとってみようかな」などと考えるようになりますので、良書に出会うチャンスが増えます。自宅や職場の近くで、大きくなくてもいいので、行きつけの本屋さんをつくってみてはいかがでしょうか。

また、良書を選ぶ際には、信頼できる人の意見を聞くことも重要です。私は、親しい人が勧めてくれた本については、基本的に購入するようにしています。私は、「この本がいいよ」などと言ってくれるアドバイザーみたいな人を「読書のメンター」と呼んでいます。新聞や雑誌の書評欄より情報を入手することはもちろんあるでしょうが、自分の近くでたくさん頑張っている人が勧めてくれた本であれば、なおさら買ってみたくなるものです。しかしそういう人をつくりたくても、周囲になかなかいないこともあります。そのような時には、SNSで情報を発信している人をフォローしてもよいでしょう。こうしたことを通して本の情報をたくさん得られるようまずは努力をすることが、良書に出会うためのテクニックのひとつであると思います。

こうして読書の量を増やし、良書との遭遇率を上げる努力をしたら、次は、読んだ本からなるべく充実したインプットを得たいわけです。その時にまず大事なことは、読みっぱなしにしないということです。一行でも一節でもいいので、後で読んだ内容を自分で思い出すことができるよう、ノートにメモをとる。あるいは、本の中に付箋を貼っておく。そうしたことができれば、何かがあった時に自分の頭の中の引き出しから読んだ内容を取りやすくなります。私の友人に、気に入ったところ全部スマートフォンのカメラで撮る人がいます。そうすれば一秒で記録に残りますし、タイピングをする必要もないため手間が少ないです。このようなことを繰り返すことで、自分の頭の中に大事なフレーズのデータベースが出来上がっていきます。こうした作業は、電子書籍であっても紙の書籍であっても同様です。大切なことは、読んだ内容を残していくという意識と、それらを必要な時に引っ張り出しやすい状態にしておくという意識を持つことです。

また、頭に残すために、同じトピックスに関して複数の本を読むのは良い方法です。たとえば最近はやりの人工知能やビッグデータについて学びたいのであれば、それぞれにつき、全体像がわかる本をまず一冊読む。そして、別の立場から書かれた複数の本を読みこんでいく。一つはビジネスマンが書いたもの、もう一つは研究者が書いたものといった按配です。同時期に様々な本を読んでいると、頭の中へ刷り込まれやすくなるばかりか、相互に矛盾する内容に気付くこともあります。そうするとそこをフックにして、もう少し調べてみよう、考えてみようという意識が生まれます。偉い先生が書いた本だけを読んだ場合には、すべてを受け入れて終わってしまいます。同一テーマで種類や筆者の立場が違う本を絡めて読んで頭の中にフックをつくって行くことで、より深く掘り進められるものと思います。

分野: リーダーシップ |スピーカー: 田久保 善彦

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