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京セラの経営哲学から見た7つの習慣: 第7の習慣「刃を研ぐ」②

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

15/08/18

テーマ: 京セラの経営哲学から見た7つの習慣: 第7の習慣「刃を研ぐ」②
1 京セラの経営哲学から見た7つの習慣:概説1 2 概説2  3 概説3 4 概説4  5 第1の習慣「主体性を発揮する①」6 第1の習慣② 7 第2の習慣「目的を持って始める①」 8 第2の習慣② 9 第3の習慣「重要事項を優先する①」10 第3の習慣② 11 第4の習慣「Win-Winを考える」① 12 第4の習慣② 13 第4の習慣③ 14 第4の習慣④ 15 第5の習慣「理解してから理解される」① 16 第6の習慣「訴状効果を発揮する」① 17 第6の習慣② 18 第7の習慣「刃を研ぐ」① 19 第7の習慣②

(1) はじめに
今日は、「京セラの経営哲学から見た7つの習慣」の第7の習慣、「刃を研ぐ」の続きになります。これに関する4側面のうち、前回は「肉体」と「精神」についてお話をしましたので、今回は「知性」と「社会・情緒」についてお話をしたいと思います。

(2) 知性
まず、「知性」からお話しましょう。「知性」はどうやって身に付けたらよいかというと、一番良いのはやはり「読書」だと思います。例えば、この前「ザ・レイディ」というミャンマーの軍事独裁政的な政権に抵抗し、民主化運動のリーダーとして活動するアウンサンスーチー女史の半世紀というドキュメンタリー映画を見て感動して、関連の本2冊(『希望の声』『自由』)を買って読みました。すごく良い本で私の人生に大きな影響を与えるようなものでした。このように、「知性」を身につけるために読書が良いというのは、皆さんお分かりかと思います。そして、その次に大事なのは「書くこと」です。例えば、日記をつけることは、自分に関する日々の記録であるとともに、管理の用具としても使えます。このように、日記や手紙を書いたり、あるいはスケジュールとか計画、レポート、原稿を書いたりするためには、様々な資料を集めますが、それが知性を高めるという意味で非常に良いことです。
そして、これまで述べてきた肉体、精神や知性は、毎日毎日磨きかけることが必要です。これらは何のために必要かというと、人生で遭遇する困難に立ち向かって、それを乗り越える基本的な能力を身に付けるためです。

(3) 社会・情緒
次に、社会・情緒的な側面については、相手との人間関係、それゆえ社会的なものと関連してきます。このようなものは、他人との関係で成育されたり、表現されたりするため、この関係で特に重要となってくるのが、自己の「内的安定性」と「自尊心」です。なぜならば、公的成功のためには、知力よりも、主に情緒的な側面、つまり自己の内的安定性と自尊心が重要だからです。まず、内的安定性についてですが、新しい事に挑戦する場合、自己がしっかりしたものをもってないといけません。すなわち、新しい事をするのは、非常に不安定なものです。それゆえ、将来の不安に対して現在が安定的でないと、勇気を持ってそれに挑戦することが出来ません。このような意味で、内的な安定性が必要といえます。この内的な安定性は、自分の生き方が、正しい原則とそれに基づいた価値観とに調和しているときに得られます。そして、もう1つ「自尊心」があります。これは、本心良心をベースにし、自己の価値観に対して忠実に生きることが自尊心を呼び起こします。
それゆえ、この社会・情緒的側面では、本心良心等を中心として内的安定性と自尊心を高める努力をしていくことが大切です。

(4) 組織における4側面
これらの4つの側面を組織にも当てはめることが可能です。すなわち、これらを組織に当てはめると、㋐肉体の側面が経済的側面、㋑知識の側面が人材開発や人材の活用、評価といった人材面に当たります。また、㋒精神の側面が会社の目的とか理念に関係し、㋓社会・情緒的な側面が人間関係や利害関係者、従業員との関係に当たります。これらが組織においてうまくバランスよく働いており、かつより良いものへと改善される必要があります。

(5) 中心としての本心良心
これまで述べてきた4つの要素ですが、能力を常に上向きに循環して、より良くしていく必要があるわけですが、その時に一番中心となる羅針盤として、本書では、「本心良心がその中心にある」と言っています。
要するに、本心良心から生じたものが誠実性とか正義とか社会への貢献などへと繋がり、自己の能力を磨きながら、原則主義や格主義といった日本的に言う徳をベースにした人生を送るようにすると成功する、ということが書かれています。

(6) 京セラ哲学との関連
これは京セラの成功の方程式と全く同じ考え方です。成功の方程式というのは「成功=考え方×情熱×能力」ですけれども、成功する為には考え方が非常に重要であるということ。すなわち、前述の「精神的なもの」、「理念的なもの」が非常に重要です。特に京セラ哲学では、「人間として何が正しいのか」を中心として全てを考えますので、そこでは本心良心が根本的な考え方となります。そして、何をするにも、人間関係が必要になってくるため、相手と一緒に頑張ってやろうという「情熱」が必要になります。これが先ほどお話したように「社会情緒的な側面」に関連し、さらに、「肉体」・「知性」は「能力」に当てはまります。この3つを掛け合わせたものが、成果としての成功です。このように、本心良心に基づき人間として正しいかを判断基準にし、自己研鑽を行い、社会に貢献することを考えますので、京セラの考え方と全く同じといえます。

(7) まとめ
人生を幸せで成功したものにしたい場合には、自分の道具である能力を常々磨きなさいということです。この場合、4つの側面として肉体と精神と知性と社会・情緒がありますが、このうち今回は特に、知性と社会・情緒についてお話ししました。

〔参考〕スティーブン・コヴィー[2013]『7つの習慣』キングベアー社

分野: コーポレートガバナンス 景気予測 |スピーカー: 岩崎勇

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