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第6の習慣 相乗効果を発揮する2

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

15/07/15

テーマ: 京セラの経営哲学から見た7つの習慣: 第6の習慣「相乗効果を発揮する」②
1 京セラの経営哲学から見た7つの習慣:概説1 2 概説2  3 概説3 4 概説4  5 第1の習慣「主体性を発揮する①」6 第1の習慣② 7 第2の習慣「目的を持って始める①」 8 第2の習慣② 9 第3の習慣「重要事項を優先する①」10 第3の習慣② 11 第4の習慣「Win-Winを考える」① 12 第4の習慣② 13 第4の習慣③ 14 第4の習慣④ 15 第5の習慣「理解してから理解される」① 16 第6の習慣「訴状効果を発揮する」① 17 第6の習慣②

(1) はじめに
今日は、「京セラの経営哲学から見た7つの習慣」の第6の習慣、「相乗効果を発揮する」の続きになります。

(2) 同一と一致
「同一」と「一致」という2つの言葉の違いはわかりますか。「シナジーを発揮する」場合には、シナジーとの関係においては、この2つの言葉は大きな違いがあります。すなわち、シナジーとの関係で考えると、「同一」とは、同じことなので、「AとA」というように、同じものが二つあることです。そのため、同じ物を合わせてもシナジーは発揮されません。他方、「AとB」というのは違います。このようなお互いの異なった意見等を合わせるのを「一致」と言います。「AとB」というのは違いますから、同一ではない別々のものが、一致して何かをやるということになります。そこでは、元々は「違う」ので、シナジーが発揮される可能性があるわけです。つまり、シナジーとは、「異なった他者との相乗効果」であり、そこから新しい価値を生み出しているわけです。このようなシナジーには、二つあって、①自己・内部のシナジーと②他者との関係のシナジーです。一般的には、後者の「他者との関係のシナジー」を指しますが、自己シナジーといって、自己の内部のシナジーというものも考えることが出来ます。

(3) 自己シナジー
「自己シナジー」とは、自己の本質の統合の効果のことであり、具体的には、右脳と左脳の統合による効果のことです。脳には、直感的で創造的な右脳と論理的で分析的な左脳があります。この右脳と左脳の双方を日常において最大限使っているかというと、そうでもないことがあります。そのため、自分の内部において右脳と左脳を上手く使って、シナジーを発揮し、良いアイデア等を考え出す必要があります。

(4) 他者シナジーと相違点の尊重
他方、他者とのシナジーを考える際には、「信頼関係」が重要になります。そして、この信頼関係を基礎として、次に重要となるのは、「違うことを拒否しない」姿勢です。すなわち、違う意見・技能等であることが相乗効果を発揮する上で、非常に重要な要素になるからです。また、お互いの違いを尊重することで、自分の認識も高められるのです。ビジネス等において自分と似た意見の人と仕事をする方が楽ですが、違う意見の人と一緒にすることによって、より良い物とか新しいものが生み出されるということがよくあります。特に現代においては、様々なものが目まぐるしく動いているため、違う意見を入れてどんどん新しい事業等をやっていかないと世間から取り残されてしまいます。そういった点においても、他人の意見というのは非常に重要です。異なった意見や技能等を得ることこそが、人間関係の利点です。

(5) 抑制力と駆動力:ブレーキを外せ
また、現在の自分の考え方について、「抑止力」と「駆動力」という二つの力が働いています。ここで「抑止力」とは、何かを始めようとする際に、止めておこうかなという抑止の力のことです。逆に、「駆動力」というのは、積極的に新しいことを始めようとする力のことです。その均衡として現在の自分の考え方等があります。しかし、シナジーを発揮する場合には、「駆動力」がより重要になります。何かを始める際には、抑止力というブレーキを外し、駆動力という積極性を持ってやらないといけません。

(6) 自然界の相乗効果性 
そして、この本の最後には、自然界は全て相乗効果的であるということが述べられています。一番分かり易い例として、植物の受粉の例があります。植物がなぜきれいな花を付けるかというと、虫たちをおびき寄せて、受粉をしてもらうためです。一方、虫たちは花の蜜をもらうことで自分たちも潤うわけです。そのため、植物にとっても虫にとっても利益がある、つまり、このような相乗効果的な関係が自然界において多く存在しています。

(7) 組織でのシナジー
これと同じようなシステムが、自然界だけでなく、人間の活動の場としての生産現場や経営の現場等にも存在します。その一番典型的なのが日本の生産システムです。日本では、サッカーなどもそうですが、個人技というよりチームワークを発揮したものが得意であるといえます。このように、お互いの異なる考えや技能等を寄せ集め、相乗効果的なシステムを作り上げ、新しい価値を作っていくということが上手く働いています。

(8) 京セラ哲学
これを京セラ哲学的に言うと、「利他」と言うことが出来ます。商売の原点は、利他行にあります。要するに、他人を益することによって結果的に自分も利益を上げ、繁栄していけるということです。その考え方というのは、相乗効果とかシナジーの考え方に沿っているものといえます

(9) まとめ
シナジーというのは7つの習慣のうちの最終目的です。それは、日本的なシステムであり、東洋的な考え方の基本にある自他一如や利他というものと全く同じ考え方であるということがいえます。

〔参考〕スティーブン・コヴィー[2013]『7つの習慣』キングベアー社

分野: コーポレートガバナンス |スピーカー: 岩崎勇

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