QTnet モーニングビジネススクール

QTnet
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QTnet モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録

タグ

QTnetモーニングビジネススクール > タグ一覧 > タグコーポレートガバナンス

京セラの経営哲学から見た7つの習慣概説4

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

14/11/19

1 京セラの経営哲学から見た7つの習慣:概説1 2 概説2  3 概説3  4 概説4

(1) はじめに
「京セラ哲学からみた7つの習慣」というテーマでお話ししておりますが、この「7つの習慣」というのは元々米国人のスティーブン・R・コヴィーが書いた本のタイトルで、アメリカにおけるビジネスや人生で成功するためには「7つの習慣」というのが大事であると言われています。この場合、その7つの習慣が、京セラ営哲学という東洋的な視点からみて、どれくらい当てはまるのかということを読み解いていきたいと思います。今日も概説の続きです。

(2) 順序とプロセスを踏む
ビジネスや人生において成功や幸福を得たければ、「順序とプロセスを踏まなければいけない」というのが今回のお話になります。「順序とプロセスを踏む」。当然のことと言えば当然のことのようですが、これをより掘り下げていくことになります。

(3) 成長過程と成功の段階
まず人間の成長のプロセスで見ていくと、赤ちゃんの時は母親に「依存」しています。しかし成長と共に「自立」していきます。それから社会に出て「相互依存」の関係になっていくようになります。このように、「依存の状態」から「自立の状態」、そして「相互依存の状態」とプロセスを踏み、段々と高度化していきます。
依存→自立→相互依存
これは、成功やビジネスにおいても同様のことが言えます。成功という場合には、まず自立の状態で「私的な成功」を収め、それを社会的に応用して、「公的な成功」、「社会的な成功」を収めるという順序を踏んでいくということになります。
私的な成功→公的な成功
このように、社会的な成功をするためには、それ以前に私的な成功、人格等をしっかり形成していないと公的な成功、社会的な成功は有り得ないということになりす。

(4) 7つの習慣と根本義としての心
このように、全てのことについて順序とプロセスがあるということについて少し考えてみようと思います。その場合、私的及び公的な成功をする為には何が一番必要なのかというと、ここでは「7つの習慣」を扱っていますので、それに沿って考えていきます。この場合、順序として「(正しい)思いを蒔いて行動を刈り取る。行動を蒔いて習慣を刈り取る。習慣を蒔いて人格を刈り取る。人格を蒔いて人生を刈り取る」というようなプロセスを踏みます。
(正しい)思い→行動→習慣→人格→人生(成功・幸福)
「7つの習慣」で取り上げられていることとしては、良い習慣を身につけると人格が立派になり、最終的に人生で成功もするし幸福にもなれるということなのです。そこで最も大切なのは、「正しい思い・見方・考え方」ということです。そして、これは、前回ご紹介したパラダイムとしての「自我・小我」ではなく「大我・自己超越」、すなわち感情と感覚で判断・行動する自我ではなく、自己を超越した客観的な本心良心で全てを考えて行動しなさいよということになります。それをベースにして、習慣が人格を形成し、人格が人生を形成していくということなのです。
(5) 習慣の3要素と成功の方程式
この場合、習慣には3要素というものがあります。すなわち、習慣を形成する要素として「知識」と「やる気」と「スキル」というものがありす。まず、「知識」は、習慣を作るのに何をするのか、何故するのかについての側面に役立つ「ものです。次に、「やる気」は、やはりやる気が継続しないと習慣になりませんので、実行したい気持ちがやる気になります。最後に、「スキル」ですが、これは種々のことを処理する能力のことであり、この能力を少しずつスキルアップしていかないといけません。こうした習慣が血肉化していくことで人格、人生を形成していくということになります。この習慣の3要素を成功の方程式で見ると非常によく似ています。成功の方程式というのは、「考え方×情熱×能力」のことです。ここをもし「考え方」を「知識」、「情熱」を「やる気」、「能力」を「スキル」とするとぴたりと当てはまります。

(6)  相互依存は自立より遥かに成熟した高度の概念
習慣をベースとして、人格を形成し、人生をハッピーにということです。先程から依存の状態から自立の状態、相互依存の状態というように、社会的な公的な成功をおさめるためには、相互依存の状況が非常に重要であるということを強調しているわけです。この相互依存の状況を「7つの習慣」では、「自然界の全ての要素が相互依存の関係にある」と言っています。これは東洋的に見ると、「相依関係の哲学」といい、東洋哲学の根本原理の1つになります。そのため、これは西洋と東洋で全く同じことを言っていることになります。
相互依存という概念がこの本で語られていますが、そこでは、「相互依存は自立より遥かに成熟した高度の概念である」と西洋人の発言とは思われないようなことが述べられているわけです。西洋的には一般に「自己・自我の確立」と言ったことが強調されます。しかし、ここでは、相互依存は自立より遥かに成熟した高度の概念であると述べております。そのため、日本の共同体的な考え方というのは、自己の確立よりはるかに成熟した高度のものであることがここで実証されているのです。何故かというと、相互依存というのは高い人格とか自制力が必要なのです。他にも色々ありますが、要するに人格者であることが前提になって信頼とか尊敬がお互いに持てなければ、相互依存は出来ないということです。

(7) 相互依存とシナジー効果
相互依存というのはやはり公的成功の一番の原動力と言えるでしょう。何故相互依存が素晴らしいかというのは、これは1+1が2といったような単純なものではありません。1+1が2でもあったり、100であったり、100万であったりする可能性を含んでいるのです。そのため、一人でするよりも、相互に協力し合い、良いとこどりをすると相乗(シナジー)効果によって予想もしなかった素晴らしい結果が出る可能性を含んでいると言えるでしょう。

(8) むすび
今日はビジネスや人生において、成功や幸福を得たければ、「順序とプロセスを踏まないといけない」。順序としては依存→自立→相互依存。私的な成功→公的な成功。思いを行動にし、行動を習慣として、習慣を人格として人生を歩んでいく上で、最高のレベルは「相互依存関係」である。お互いにシナジーを100%以上発揮して社会的成功や良い人間関係あるいは幸せを追求し合うということが大切であるということについてお話しました。

〔参考〕スティーブン・コヴィー[2013]「7つの習慣」キングベアー社

分野: コーポレートガバナンス 財務戦略 |スピーカー: 岩崎勇

トップページに戻る

  • RADIKO.JP