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京セラの経営哲学から見た7つの習慣:(1)第1の習慣:主体性を発揮する①

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

14/11/26

1 京セラの経営哲学から見た7つの習慣:概説1 2 概説2  3 概説3 4 概説4  5 第1の習慣「主体性を発揮する①」

(1) はじめに
「京セラ哲学からみた7つの習慣」というテーマで、シリーズでお話ししておりますが、今日は、第1の習慣のお話しです。

(2) 7つの習慣
「7つの習慣」は次のようなものです。
1126表.jpg
(3) 主体性を発揮する
今日は第1の習慣としての「主体性を発揮する」がテーマになります。ここはまず「私的な成功をするための3つの習慣」の1つということです。この第1の習慣というのは「自立のパラダイム」の下での第1習慣であり、この「主体性を発揮する」というのは、次の2つのことを含んでいます。すなわち、第1は、「率先して物事を行う」というのは勿論ですが、第2は、自分が選択したものなので、それに対する考え方や行動の結果の責任を取る(「自己責任」)ということになります。
 主体性の発揮―(自立のパラダイム)→①率先して物事を行い、かつ②責任を取る

(4)自覚と決定論
人間は、自分が何をしているか、何を考えているかを比較的客観的に見ることができます。これを「自覚」と言いますが、この自覚が正常に働いているかどうかが問題になります。通常は正常に働いていると私たちは思っていますが、実際はそうではありません。
これは様々な社会的な通念や色々な考え方によって影響を受けています。ポジティブ・ネガティブな影響を受けているわけですが、そのうちの1つの例が、例えば、人間の行動を決定するものとして米国では「決定論」という考え方があります。これは人格や性格、気質といったものはDNA、血統によって決まっているというような「遺伝子的決定論」や、このような人格・気質等が両親の育て方等によって決まってしまうという「心理学的決定論」、あるいは人格等がその人が取り巻く環境によって決定されるという「環境的決定論」等です。こういうことは、どれか1つということはではありませんが、トータルしてみるとなんとなく、これらの決定論に従っていると考える人も多いと思います。案外、日常的に遺伝的・心理学的・環境的の要因によって自分の行動が左右されていることも多いのではないでしょうか。例えば、今日は天気がいいので、今日は気分いい。雨や嵐だと何となく気分まで悪くなってしまうなんてこともありますよね。

(5)決定論的反応(「反応性モデル」)と人間的反応(「主体性モデル」)
この決定論の代表的なものとして「パブロフの犬の実験」があります。これは、いつもベルを鳴らして餌を与えていると、ベルを鳴らしただけでよだれが出てくるという「条件反射モデル」なのですが、これは刺激に対して直接反応するというモデルになります。これはどちらかというと動物的な刺激に対する反応のモデルであり、これを「反応性モデル」と言います。一方、人間的なモデルとして、「主体性モデル」があります。人間的と動物的は何が違うのかというと、刺激と反応の間に「選択の自由」が入るのです。これを入れるか入れないかというのが非常に重要なのです。
(決定論的反応)「反応性モデル」:刺激→反応モデル 
(人間的反応)「主体性モデル」:刺激→選択の自由→反応モデル

(6) 理性のワンクッション
要するに、刺激があって直接的に反応するというのはどちらかというと感情的ですね。感情・感覚的なのが前者です。一方、京セラ的には、「理性のワンクッション」を入れる、理性的にワンクッション入れて、刺激→反応ではなく、刺激→自由選択→反応になっているのが人間的なのです。ではそこに何を入れているか、そこに入れるものが重要なわけですけれども、それが「自覚」と「想像力」と「良心」と「自由意志」ということなのです。何を言っているのかというと、「自覚」というのは冷静に客観的にということです。冷静に客観的に「自由」に「想像力」を働かせ、「本心良心」に基づいて判断し、行動して下さいということなのです。そのため、選択の自由、刺激があった場合には、冷静に自由に想像力を働かせて、良心に従って判断して反応してくださいというモデルだと言えます。
「主体性モデル」:刺激→選択の自由(自覚・想像力・良心・自由意志)→反応

(7) 左右するか、左右されるかと「5自力」
このことが「選択の自由において主体性を発揮する」ということなのです。「選択の自由」は、「主体性を発揮する」という第1の習慣に非常に入ってくるわけです。そのため、まず自主性・主体性を発揮し、「率先して物事を行い」、その結果としての自己の人生に対する「責任を取る」ということが非常に重要だと言えます。この場合、人に左右されるか、こちらが左右していくかというの、は非常に大きな問題です。刺激部分すなわち周りが動くのを受動的に待っていると、周りに左右されてしまうのです。これが普通なのですが、こうして感情等が左右されてしまうことを「他律的」といいます。その「他律的」ではなく、自分が能動的に率先して何かをする、渦の中心になってやることで、「自律的」に何かを考えて行動していくということが重要です。
【受動的】環境→自分→他律的   【能動的】自分→環境→自律的
主体性を発揮するということを京セラ哲学的にみれば、「自燃性」と言います。「自燃」というのは自分から燃えるということです。また、別の表現をすれば、「渦の中心になれ」とか、「率先垂範する」とか、あるいか「自らの道は自ら切り開く」というものになります。結局西洋的に言っている主体性を発揮するというのは、東洋的に見ても同じような習慣であると言えると思います。これらは、小生が重要であると考える「5自力(5つの重要な自己の力):自由・自主・自立・自律・自燈(自らの人生の方向を自ら照らし出すこと)」と全く同様です。

(8)まとめ
今日は、ビジネスや人生に成功するためには、7つの習慣が重要であり、その一番基礎になっているのが「主体性を発揮すること」、すなわち、「率先して物事を行い、かつ結果について自己責任を取るということが重要である」というお話をしました。
〔参考〕スティーブン・コヴィー[2013]「7つの習慣」キングベアー社

分野: コーポレートガバナンス |スピーカー: 岩崎勇

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