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京セラの経営哲学から見た7つの習慣:(2)概説2

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

14/10/09

テーマ:京セラの経営哲学から見た7つの習慣(2):概説②
① 京セラの経営哲学から見た7つの習慣:概説①   ② 概説②

(1) はじめに
「京セラ哲学からみた7つの習慣」というテーマでお話ししておりますが、この「7つの習慣」というのは元々米国人のスティーブン・R・コヴィーが書いた本のタイトルで、アメリカにおけるビジネスや人生で成功するためには「7つの習慣」というのが大事であると言われています。この場合、その7つの習慣が、京セラ営哲学という東洋的な視点からみて、どれくらい当てはまるのかということを読み解いていきたいと思います。

(2) 7つの習慣
まず具体的に「7つの習慣」とはどういうものがあるのかということになりますが、その習慣は、表1のように、大きく3つに分けられ、その内訳は3(私的成功のための3つの習慣)・3(公的成功のための3つの習慣)・1(自己を磨く習慣)となっています。


表1 7つの習慣
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(3) 私的成功のための3つの習慣
最初の3つについてですが、これは「私的成功のための3つの習慣」になります。ここでは「個人的・私的成功」と「社会的・公的成功」を考えております。個人的な私的な成功のためには、まず第1の習慣は、「主体性を発揮する」ということです。「主体性」すなわち主体的に何事にも取り組むことです。第2の習慣は、「目的をもって始める」ということになります。みなさんも、例えば、受験に向けてなど一定の目的を持ってあらゆることを始めると思います。第3の習慣は、「重要事項を優先する」ということです。このように、「主体的に目的をもって重要事項を優先しながら人生を送っていくこと」が私的に成功する秘訣であると考えています。これが基礎的な条件であり、これを「自立のパラダイム」と呼び、「自己を確立して自分が成功するための基本的な考え方」です。この「自立のパラダイム」というのは、自分が自立し私的な成功をするために重要なパラダイムです。

(4) 公的成功のための3つの習慣

表2 win & loseの関係

gurahu2.jpg


その上にあるのが、次の「3つの習慣」です。これは「公的成功のための相互依存のパラダイム」と呼ばれています。どういう習慣かというと、第4の習慣は、「win-win」を考える。自分のことだけ考えるのではなく、社会は様々な人と構成されているので、お互いの利益すなわち「win-win」を考えるということになります。この場合、表2のように、win-lose、lose-winあるいはlose-loseではだめです。私がwinしてあなたがloseでは、あなたにとって良くないし、あなたがwinで私がloseでは、私にとって良くないので、お互いのwin-winになるようなことを常に考えます。
第5の習慣は、「理解してから理解される」というものです。何かをする時には、普通誰でもが、まず自分が「理解される」ということを優先します。しかし、このようなやり方では上手く行かないのが通常です。そこで、社会的には、まず相手のことを理解してから、次に理解してもらうということを心がけます。そのため「他人優先」なのです。このような方法によらないと社会では成功しません。先ほどのwin-winも私だけ勝ってあなたがloseではだめでした。それと同様に、感情移入の時も「相手をよく理解してから理解される」、「あなたのことを良く理解したのだから、私の方も理解して下さい」ということになります。そうすることでスムーズにことが運びます。
そして、第6の習慣は、「シナジーを発揮する」ということです。「シナジー(相乗効果)」とは、先ほどのwin-winと、あるいは理解してから理解されると全く同じなのですが、あるビジネスを行おうと考えた場合、例えば、売り手はできるだけ高く売りたいけれども、買い手はできるだけ安く買いたいという思いが生まれます。どちらか一方だけで重視した場合には、普通の「二元論」になってしまい、私が勝つか、あなたが勝つかということになってしまいます。しかし、シナジーは、こうした二元論ではなく、「正反合」というように、対立を一段高いところで解決する「弁証法」的な考え方です。つまり、あるものには必ずそれに対抗するものがあるという「利害対立」(どちらか一方だけが勝つ)を、それよりもより一段高いところで解決するのです。お互いの持っている良いところを生かし、より高いところで解決をはかる(両者がWin-Winとなる第3の解答を探す)というのが「相乗効果」です。一緒に仲良く勝とうよというふうな考え方ですね。それが「相乗効果を発揮する」ということになります。これが「最終目的」になります。この世の中は、人間でできていますので、自分だけではなく、全体として皆でお互いに仲良くやろうと、このことがお互いの利益になるし、ハッピーにもなります。今世界では多くの争いがありますが、このような状態を続けていれば、本当にお互いに「負の連鎖」になってしまいます。そうではなく、反対の「プラスの連鎖」を作っていく必要があると思います。悪いことをすると必ず反撃がありますし、反対に良いことをすれば、必ず良いことが戻ってくるという「善因善果・悪因悪果」は自然法則(「因果律」)なのです。

(5) 自己を磨く習慣
最後に第7の習慣が「刃を研ぐ」になります。すなわち、「自分自身を磨く」ということです。自分自身が、常に自分を磨くことによって、信頼され、尊敬される人物になるということです。そして、常に自己研鑽を積みながら主体的に目的をもって重要な事項を優先しながら、しかも、相手のことを考えて、皆でシナジーを発揮しながら、成功しようということになります。この場合、いつも全ての基礎として「(本心)良心」に基づいて思考・行動することが大切であると述べられております。これは東洋的な考えと全く同一です。「(本心)良心」というのは西洋東洋を問わず、成功するための一番の基本になるということが理解できるのではないかなということです。

(6) むすび
ビジネスにおいても人生おいても成功し幸せになるためには、このような7つの習慣を身につけて、生活の中で血肉化していくことが、西洋東洋を問わず非常に重要であるということです。

〔参考〕スティーブン・コヴィー[2013]「7つの習慣」キングベアー社

分野: コーポレートガバナンス 会計 財務戦略 |スピーカー: 岩崎勇

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