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QBS科目「産学連携マネジメント」の紹介(その1)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

14/08/26

・今日は、私が担当する科目「産学連携マネジメント」を紹介したい。
・全15回の講義の半分は、座学とケース・ディスカッションを中心に構成され、半分は「QuickLook」というツールを用いた技術アセスメントのグループ演習を行う。
・まず座学とケース・ディスカッションだが、多様な形態を持つ産学連携の代表的なパタンである「共同研究」「技術ライセンス」「大学発ベンチャー」について学び、それに必要な知識となる「知的財産」も併せて学ぶ。例えば、大学で日々生まれる「研究成果(発明)」をどのように評価し、権利化すべきなのか?といった論点について、事例を交えながら学ぶ。例えばひとつの論点として、「特許取得とコスト負担」がある。大学では、1年間に膨大な数の論文発表や学会発表が行われるが、その全てを「特許」として権利化するのは、手間とコストの面で明らかに非現実的だ。何らかの基準によって評価し、権利化の対象として選別しなければならないが、「海のものとも山のものとも判らない」基礎研究成果を、一体どのように評価すれば良いか、について解説し、議論する。

・また、「共同研究」では、大学と企業の共同研究にあたっての目的意識の違いを十分に理解し、双方の利害が一致するポイントを明確化することの重要性を学ぶ。また、「技術ライセンス」についても、大学から企業へのライセンスがどのようなイノベーションの実現を果たしてきたのか、また、産学のライセンス交渉で何が争点となるのか、どこに留意するとより早く合意にたどりつけるのかを実例を通じて学ぶ。更に、「大学発ベンチャー」の果たす役割や、その設立や大学との関係の持ち方について、注意すべき点を学ぶ。

・残る半分は、「QuickLook」という技術アセスメントツールを用いて、グループ演習を行う。クイックルックとは、NASAで開発され、テキサス大学オースチン校で発展し現在も広く使用されているツールで、20~40時間ほどの短時間で大学などの研究シーズの商業化の可能性を評価できる。
・この演習では、九州大学が保有する実際の技術シーズリストの中から、グループでアセスメントに取り組む案件を選ぶことから始まる。演習には、九大の産学官連携本部も協力してくれており、発明者へのインタビューや商業化に関心を持つ企業などへのインタビューなどのアセスメントを進め、最終発表会では、ベンチャーキャピタルや弁理士、TLOの取締役などの前でプレゼンテーションをし、評価されるという構成だ。
・技術アセスメントの項目としては、「技術がもたらす便益」「対象市場」「市場の関心」「技術開発」「知財取得」「参入障壁」などから構成され、最終的にその技術の市場参入戦略を立案する内容となっている。
・ちなみに、昨年度は、「ペット向け医薬品」「植物由来の新しい機能性食品」「高齢者にも聞こえやすい音声強調システム」など6つのテーマについて、商業化に向けたシナリオ作成を行った。

・以上のように、「産学連携マネジメント」は、MOT(技術経営)に必要な知識の獲得と、QBSの特徴である「受講者の多様性」を活かした演習とをバランスよく織り交ぜて産学連携の理論と実務の両方を学べる点が特徴である。

【今回のまとめ】
・「産学連携マネジメント」は、理論や実例を通じた知識の獲得と、QBSの特徴である「受講者の多様性」を活かしたグループ演習とをバランスよく織り交ぜて、産学連携の理論と実務の両方を学べる科目となっている。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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