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分析データの解釈

田久保 善彦 リーダーシップ領域

14/06/11


前回までに、データの分析や、データがない場合に自分で推計するというお話をしてきました。今回は、分析したデータをどのようにして上司やお客さんに伝えればよいのか、すなわち、分析データの解釈についてお話したいと思います。

自分が作ったプレゼンテーション資料のグラフ横に、グラフを解説する文章が書いてあるとします。たとえばそこに、「2010年から2014年まで平均で5%伸びました」と書いてあれば、実際のプレゼンテーションにおいて、それをただ読み上げるだけという人が結構多いのではないでしょうか。それを聞いている上席の人は、「読めばわかる、見ればわかる」と思っています。中には、「で?」と口に出す人もいるでしょう。そう言われると、発表しているこちら側は、あまりものを考えていないのでどぎまぎしてしまいます。しかしこのように偉い人が思うのは至極当たり前のことで、見ればわかることを音にして読み上げられても、何の付加価値も感じられないのです。そこでこの付加価値を上げるために、分析データを解釈することが必要になります。解釈とは、平均で年間5%伸びた背景について語るということです。

たとえば、野球を例に挙げて考えてみましょう。アナウンサーが、「第一球150キロのストレートをインハイに投げました」と言ったとします。これらは、すべてファクトです。それをもとに解説者は、なぜ一球目に150キロのインハイを投げたのかという、意図や目的を語ります。視聴者は、これを聞くのが楽しいのです。解説者による解釈を聞くことで、「あ、なるほど。だから一球目にそこに投げたのか」と納得することができます。淡々とファクトのみを述べられても、面白くも何ともありません。したがって、実況中継をするだけではなく、解釈を語ることが非常に重要になります。

場面をビジネスへ戻しましょう。2008年から2012年までの4年間で、200店舗から600店舗までお店の数が増えたとしましょう。これについてプレゼンテーションをする場合に、一番良くないのが、「部長、この店は2008年から2012年の4年間で、200店舗から600店舗に急に店の数を伸ばしています」とファクトだけを語ることです。これでは、付加価値がまったくありません。そこで、少しひねってみましょう。4年間で400店舗ですので、平均して1年間で100店舗、3日で1店舗を、新たに出していることになります。すなわち、店を出す場所についてざっくりと考えて、その道を通る人の数を数え、不動産屋さんと契約し、内装や外装を行い、人を雇用してトレーニングし、チラシを作ってキャンペーンをして・・・ということを、3日に一度は行ったわけです。そうなりますとこの店は、こうしたことをさっさとやってしまうノウハウやマニュアルを持っているものと考えられます。もしくは、こうした一連の作業を実施する際にはお金がかかりますが、そのために逐一銀行にお金を借りているとも考えにくいので、ある程度のキャッシュを有しているとみなすこともできるでしょう。この店が現在福岡で展開しているけれども大阪へ進出することになった場合、大阪で既に同じ商売をしている人は何を考えなければならないのでしょうか。こうした状況に直面した際には、単にファクトだけを述べる人よりも、それを解釈できる人の方が明らかに有用となります。

たとえば、1ドル=100円だったものが105円になりました、16000円だった株価が14500円になりました。こうした情報を右から左へ聞き流すのではなく、「ってことはどういうことだろう。僕にとって僕の会社にとって。私にとって私の会社にとって」という質問を、自分へ投げかける癖をぜひつけていただきたいのです。それが、解釈力を高める一番の近道なのです。

今日のお話をまとめます。
書いてあるデータを読み上げるだけでは、付加価値が生まれません。「ということはどういうことなんだろう、数字が動いたということはどういうことなんだろう、数字が増えた減ったということはどういうことなんだろう、どんなことを意味するんだろう」ということを、ぜひご自身の頭で解釈をして、それを情報発信するよう努めていただけたらなと思います。

分野: リーダーシップ |スピーカー: 田久保 善彦

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