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中国

村藤功 企業財務 M&A

14/02/13


今日は、最近の中国についてお話します。

中国は、大変なところに防空識別圏をセットしてきました。そこで日本では大騒ぎとなり、即時撤回を求めました。民間航空会社にも、飛行機を飛ばす際に中国へ事前通告をしないよう要請しています。しかし、そもそも領空や領土は国際法上に規定があるものですが、防空識別圏とは、領空侵犯を防ぐために各国が勝手に設ける監視区域のことで、法で定められたものではありません。領土上に設定されることがほとんどですが、領空侵犯を防ぐためのものですので、ヨーロッパなど国同士が陸続きになっているところでは、他国の領土上に防空識別圏が存在します。韓国も北朝鮮と接しているので、当然北朝鮮上に防空識別圏を設定しています。そういう意味では、自身の領空上に防空識別圏ができたことを日本側は問題視していますが、これは当たり前の話なのです。中国側は、中国の防空識別圏に民間航空機が来た場合に撃ち落とすなどと話しているわけではないので、日本側がそんなに騒ぐ必要があったのかどうかは疑問です。アメリカは、中国の防空識別圏にアメリカの民間航空機が入る場合には、事前に通告すれば問題ないと話しています。防空識別圏については、日本と韓国だけがナーバスになっているのです。

それから、最近福岡へ中国からのPM2.5が降ってきています。1立方メートル当たりの濃度については、日本では35マイクログラムを、中国では70マイクログラムを、それぞれ超えてはいけないと言われています。しかし中国では、500マイクログラムを超える都市が15ほどあるとのことです。自動車の排ガスや石炭暖房の増加が、PM2.5が増えてきている原因です。

また、三中全についても触れておきましょう。そもそも中国では、中国共産党の組織と政府の組織が別々に存在します。最初に党の組織の方で話を出して、その後政府の組織の方へ話を振る、という形になっています。三中全とは、共産党中央委員会全体会議のことをいいます。先日、この三中全において、二つの重要なことが決定されました。ひとつは、市場の役割を重視することを目指した、市場重視改革です。たとえばこれまでは、共産党の役員が国有企業を経営していましたが、これからは監視と執行を分離しましょうという話になりました。すなわち、これからも共産党の役員が国有企業の監視を継続しますが、執行や経営については、かならずしも党員ではない経営者が行うことにしました。もうひとつが、一人っ子政策の緩和です。今後日本のように少子高齢化が進行した場合、社会福祉が成り立たなくなるのではないかという疑惑が中国でも出てきました。1979年に開始された一人っ子政策ですが、既に以前より、父母がともに一人っ子である場合にのみ、二人目の子供をもうけることが許されてきました。今回の三中全において、自治体が認めれば父母のどちらかが一人っ子であれば、二人目の子供をもうけてもよいという話になりました。今後、各地方自治体がこの政策を導入してはじめて、一人っ子政策の緩和が実行されることとなります。ここで誤解してはいけないのは、人口制限がなくなったわけではないということです。三人目を産むことは、未だ許されていません。また人口が多くなりすぎても困るため、総人口の上限を15億人にとどめるとしています。

ほかにも、経済発展が遅れている内陸部の問題についても対処を始めています。中国では沿海部から発展がはじまりましたが、内陸部の農村は未だ貧しいままです。そこで、これらの農村に居住している人びとを、大都市ではなく内陸部の地方都市へ、一億人ほど移そうという話が出ています。中国では、戸籍が農村戸籍と都市戸籍とに分れていて、農民が都市の工場へ働きに出たとしても、都市戸籍を持たないために社会保障を受けることができません。そこで戸籍制度を緩和して農村戸籍の持ち主が地方都市の戸籍を取れるようにし、一億人ほどの農村の人びとが内陸部の地方都市で働きやすくすることで、沿岸部との経済格差を縮小しようとしているのです。

このように中国は、環境問題や言論統制問題、経済問題など、様々な問題を抱えていますが、一つ一つに手を打っていないわけではありません。中国の経済成長率は、平均して10%だったものが7~8%へ減少してきていますが、今後も当分はこの程度の成長を継続する見込みです。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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