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経験から学ぶ(やる気を持続させるために)

藤村まこと 社会心理、組織心理

14/01/15

人は、何か目標を立ててそれ向かって頑張ろうと思うときがあります。目標に向けて行動を起こすとき、そこには"意欲"や"やる気"が生じています。今日は、そのやる気によって生じる行動の三つの次元についてお話します。

■やる気の3つの次元
たとえば、英語のスキルを上げるという目標を立てた場合、そのために英単語を覚えるなどの行動を起こそうとしますね。そうした行動を、三つの次元で整理することができます。

第一の次元は、「強度」です。一回あたりに何をどのくらいやるのかという行動の強さを示します。英語のスキルを上げる話であれば、英単語を一日に10個覚える行動と一日に100個覚える行動であれば、後者の方が「強度」が高いということになります。次に、第二の次元は「持続性」です。やる気と行動が持続するためには、「強度」と「持続性」のバランスが重要となります。あまりに「強度」が強すぎると、持続性が低下することがあります。先ほどの例であれば、1日に単語100個を覚えることは、強度は高くなりますが、長く続けることは難しくなりますね。程よい強度で長く努力を続けるほうが、目標を達成できる確率は高まります。たとえば、仕事の成績を上げるという目標を掲げた場合、営業のための訪問先の数を増やしたり、仕事を始める時間を早くするなどの行動をとるかもしれません。何をどの程度行うかという強度は人それぞれですが、それを長く持続できるかどうかが大事なこともあります。最後に、第三の次元に「方向性」があります。英語のスキルを鍛えるという目標のために英単語だけを毎日必死に覚えたとしても、外国の方と会話をすることは難しいかもしれません。英会話を見につけたいのであれば、単語を覚えること以外にも、すべきことがあるかもしれませんし、やり方が間違っているかもしれません。ある程度の「強度」で努力を「持続」することができても、成果が出ないことがありますね。そのときは、努力の「方向性」が間違っている可能性があります。「方向性」とは、何をするか、目標にたどり着くためにどの道を選ぶか、ということになります。この方向性を見極めることも重要です。

■ダイエットや家計簿の例
ここではダイエットを例に考えてみましょう。痩せるという目標のために、三日間断食すると言う方もいるかもしれません。これは極めて強い「強度」を有すると同時に、極めて短い「持続性」を持ち合わせていますね。実際に一時的には効果も出るかもしれません。しかし、健康的に痩せられるとは思えませんし、ダイエット効果も持続せずリバウンドをしてしまいそうですね。もしかすると、一日の食事量を腹八分程度にして、その状態を長く持続した方がダイエット効果は高いのかもしれません。あるいは、「方向性」をさらに少し変えて、食事を制限するのではなく運動量を増やすなど、体の血行や代謝をよくする方向で努力を続けて行く方が、成果が出る可能性もあります。ほかにも、年始に日記や家計簿をつけ始めようと思うことがありますが、なかなか長続きせず、三日坊主になることが多いですね。持続しないときには、まず自分でできると思うよりも、より低い強度の行動を設定するとよいでしょう。そして持続することができれば、強度を少し上げていきましょう。

■失敗を繰り返さないために
努力しても成果が出せなかったり、そもそも持続できなかったりという経験は、失敗経験となります。失敗経験の繰り返しは、「自分はいくら頑張っても駄目だ」というあきらめを感じさせます。人は、あきらめるということも学習することができて、それは学習性無力感と呼ばれています。そうなると、本当は頑張れば目標を達成できるときにも、「何をやっても駄目なんだ」と考えて、頑張れなくなります。こうした経験を避けるためにも、ぜひやり方があっているかという方向性のチェックを、どのくらいのことをやろうとしているのか強度のチェックを行ってください。職場で後輩や部下を持たれている方は、彼らが成功経験を積むことができるよう、この点に注意してアドバイスをするとよいかもしれません。

分野: 心理 |スピーカー: 藤村まこと

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