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ハブ空港の利便性と問題

星野裕志 国際経営、国際物流

14/01/02


先日ニューヨークの空の玄関口であるケネディ国際空港から、首都ワシントンDCの空港まで乗り継いだのですが、本当に乗り継ぎが面倒でした。ケネディ国際空港は、アメリカを代表する国際空港のひとつとしても位置付けられ、国際線だけでも50を超える国々から100社近い航空会社の定期便が乗り入れているのですが、空港ターミナルが8つに分かれています。福岡空港の国内線、国際線ターミナルが8つあると考えてください。面積は成田空港の約2倍の約20平方キロメートルあって、その間をスカイトレインという周回電車で結んでいるのですが、その移動もそれぞれのターミナルでの手続きも大変です。

この空港は、デルタ航空とジェットブルー航空の二社が、それぞれのネットワークの中心としてハブ空港にしているほか、アメリカン航空も準ハブ空港にしているために、朝や夕方の繁忙期には数十機の出発待ちが発生するといわれており、世界でも有数の繁忙空港です。

今日のお話はどうして、そのような常に混雑して、機能が一箇所に集中した巨大空港が存在するのかということですが、これがハブ空港と呼ばれるものです。BBIQモーニングビジネススクールでも、今までに海上輸送であればハブ港湾、航空輸送であればハブ空港の概念については、紹介してきました。自転車の車輪の中心にある車軸であるハブとスポークに見立てて、ネットワークの中心に拠点を置くことにより、乗客や貨物の効率的な輸送を可能にするシステムのことです。このハブ&スポーク方式は、もともとは1970年代に、フェデックスの創業者でありCEOであるフレデリック・スミス氏が考案した考え方ですが、世界中のほとんどの交通機関がこのシステムを導入しています。

このハブ空港に飛べば、そこから乗り換えて最終目的地まで行くことができるということですが、例えば福岡と羽田空港の間には、朝7時から夜21時まで日本航空一社だけで、一日17便が運行されています。同じく日本航空は、札幌新千歳空港と羽田空港の間に、全く同じ17便を運航しています。一方で、福岡と札幌の間の直行便は、午前11時15分と午後2時15分に2便あるだけです。福岡から札幌に出張か旅行をされる際に、直行便と羽田乗り換えの両方の選択肢があるとすれば、皆さんどちらを使われますか?

なぜ福岡と札幌の間に直行便が、日に2便しかないのかといえば、おそらくその間に、それほどビジネス客などの需要もないのではないかと思います。そうなるとパッケージなどの旅行客に使いやすい朝の遅めや午後にしかフライトが設定されていないのでしょう。もし出張などで急いでいく必要があれば、7時に福岡を出て、羽田空港で乗り継げば10時40分に札幌に付けますし、乗る便に選択肢があれば、その組み合わせを考えれば良いことになります。それが、ハブ&スポーク方式です。

実は、このケネディ空港も2011年の利用者2,420万人で、世界で第16位に過ぎません。世界最大ロンドンのヒースロー空港6,500万人、第二位のパリのシャルルドゴールは5,600万人が利用するまさに巨大なハブ空港です。そうなると旅客も貨物もこのハブ空港で、乗り換えや積み替えが発生することになるので、大きな問題を抱えることになります。数年前の調査で、パリのシャルルドゴール空港での手荷物の紛失率が世界で最も高く、ヒースロー空港が2位と発表されていました。もはやあまりにも多くの航空会社が乗り入れて、乗客の乗り換えや手荷物を含めた貨物の積み替えが発生するために、システムが追いつかないのだと思います。

さらには、空港のターミナルの中では、動く歩道やエスカレーターも完備されていてバリア・フリーですが、そのターミナル内やターミナル間で移動する距離を考えると、高齢者や身障者には、大きなバリアではないかと思います。最近出張していて、アジアのハブ空港でも感じることですが、輸送の利便性を追求したハブ空港は、利用者にとって非常に使い勝手の悪いものになっているように思います。

今日のまとめは以下の通りです。
「ハブ&スポーク方式とは、飛行機のネットワークの中心にハブ空港という拠点を置くことにより、乗客や貨物の効率的な輸送を可能にするシステムのことです。しかし機能を集中化した巨大ハブ空港は、乗り換えの利便性や航空機の離発着に集中によって、非常に利便性が悪い空港とも言えます。
今日はハブ空港の利便性と問題点を指摘いたしました。」

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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