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エジプトの混乱

村藤功 企業財務 M&A

13/12/04

2011年に起こったアラブの春は、民主的な運動であったといわれます。エジプトでは、30年間にわたり独裁体制を敷いてきたムバラク大統領を追いだしたことで、これから民主主義が花開くだろうと思われていました。その後の選挙において、ムバラク政権下では非合法組織であったムスリム同胞団のモルシが大統領に選ばれたことで、状況がまた変わりました。モルシ大統領は、ジハード団やアルカイダの関係者を釈放したり、テロに関与した人を知事にしたりしたので、エジプト国民が怒りはじめました。そこで、国民の90%の支持を受けているエジプト軍が今年の7月にクーデターを起こし、モルシ大統領を拘束した結果、軍の暫定政権が成立しました。

軍の暫定政権が成立したことを、ムスリム同胞団を嫌っていたアメリカは好意的にみていました。しかし軍は、モルシ大統領の解放を要求しているムスリム同胞団に対して弾圧をはじめました。デモをしているイスラム教徒たちを怪我させたり殺害したりと、あらゆる暴力的なことを行ったのです。これを受けて欧米や国連は、エジプトへの支援をするすると引いているところです。

欧米にしてみれば、軍の暫定政権とムスリム同胞団のどちら側についてもよろしくない状況となっています。当初は、エジプト国民が支持したムスリム同胞団側につけばよいのかと思いきや、自分たちに対してテロを起こす人びとの仲間であることがわかってきました。一方で、軍は国民を殺害し続けているため、こちら側につくこともできません。欧米としては、どちらかに偏ることなく、民主主義政権に移行することを期待しつつ、現状を見守るほかないのです。

ムスリム同胞団については、サウジアラビアやヨルダン、クウェートなどがこれを嫌っていました。王制を揺るがしかねないと判断されたがためです。したがってこれらの国々は、たとえ暴力的であろうとも、エジプトの軍事暫定政権を資金面においても支持しています。

今になって考えると、アラブの春とはいったいなんだったのでしょうか。アラブの春によって民主化が進み、ムバラクやカダフィーなどの独裁者が追い出されました。そこまではよかったのですが、その後にエジプトでは、国民がムスリム同胞団を選んだことによって、素直な民主化ではなくなってしまったのです。イスラム過激派やテロリストが力を持つようになり、欧米はどうすればよいのかわからない状況に陥っています。

今日のお話をまとめます。
2011年のアラブの春において、エジプトではムバラクが失脚し、ムスリム同胞団のモルシが大統領となりました。しかし、テロリストを解放したことで国民の支持を失いました。今年の7月には、軍事クーデターによって暫定政権が成立し、ムスリム同胞団のデモを強制排除するなど、暴力的な弾圧が行われています。このように、エジプト情勢は混迷を極めている、というのが現状です。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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