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プランタジネット朝(スコットランド)

鈴木右文 英文法理論、コンピュータによる英語教育

13/12/09

今日は「イギリスの歴史シリーズ」10回目になります。

前回までのおさらいですが、これまで「ノルマン大征服」が起き、近代王朝が始まり、「ノルマン朝」、「プランタジネット朝」と順を追って紹介してきました。「プランタジネット朝」の話を過去2回ほどしたのですが、「プランタジネット朝」というのは、スコットランドやフランス、あるいはアイルランド、ウェールズといったイングランドと近接している国々といざこざを起こしたり、攻め入ったりということしてきました。このあたりの歴史から、今日はイングランド周辺の世界の話も少し混ぜてお話しようと思います。時期としては、「プランタジネット朝」時代の話が中心ですので、今日は「プランタジネット朝(3)」というタイトルでやらせて頂きますが、実際は「スコットランド」に焦点を当てた話になります。

スコットランドについてですが、「スコットランド」という名前からも、皆さん「"スコット"という名前を持った民族の国では?」と思われるかもしれません。もちろんそれは正しいのですが、最初はスコット人の国ではなかったのです。最初ローマが攻めてきた頃、それこそ紀元前ぎりぎりの時期から3世紀、4世紀あたりの時期ですが、その当時は「ピクト人」という原住民がいたのです。「スコットランド」の"スコット"という名前は、そのピクト人の後から移ってきた人たちの名前なのです。その人たちは、アイルランド島から6世紀頃に移ってきた人たちで、後から入ってきた人たちの名がその地域の名前になってしまったわけです。そのため、「ピクトランド」と呼ばれても良かったかもしれないですが、現在は「スコットランド」と称されています。スコット人というのは、その人の名前を見るとすぐに分かります。何故なら、名前に"マク"と付いている人が多いからです。当時の王様は、「"マク"アルピン家」という家柄なのですが、よくマッカーサーやマッケンジー、或いはマッキントッシュといった名がありますが、このように"マック"がついているのは、これはスコットランド系統なのです。ですからアメリカなどで、"マック"なんとかという人がいれば、おじいちゃんあたりがスコットランド出身という人が多いわけです。
つまり名前も含め、スコットランドの色々な特徴は、実は後から入ってきた「スコット人」が関係しているということです。こういったことは世界中あちこちで見られるのですが、このスコット人が本格的な王朝を立てたのは大体9世紀あたりだと言われています。先ほどご紹介した「マクアルピン」という家が王族になったのです。この頃から、このスコットランドとイングランドとの間で、「どの辺りに国境を引くのだ」といったことで、揉め事が耐えない時代が始まったのです。

ここで確認ですが、「プランタジネット朝」は1154年から1399年に存在した王朝で、つまり12世紀から14世紀末あたりまでの王朝です。実は、この時代のことをよく知っている人は意外と多いのです。昔、アカデミー賞を取ったメル・ギブソン 主演の「ブレイブハート」という映画があったのですが、この映画が描いていたのが「スコットランド」であり、特にこの時代のスコットランドとイングランドとの戦いにスポットを当てた映画なのです。
当時、イングランドは「なるべく領地を広げたい」、スコットランドとしては「なるべく侵食されたくない」というそれぞれの思いを持ち、本格的にぶつかっていました。その時に有名だったのが「ウィリアム=ウォーレス」と「ロバート=ブルース」という2人です。特に、「ウィリアム=ウォーレス」は、前述の映画「ブレイブハート」の中で主人公として扱われた人物です。彼は貴族ではなく、一般人に近い存在だったのですが、兵士として非常に優秀で、最後はロンドン塔で打ち首にあってしまったわけですが、スコットランドでは神様のような扱いを受けています。スコットランドのスターリン(当時の首都)には、何十メートルという高さがある彼のモニュメントが立っています。この人のことをスコットランドに行って褒めれば、人々から何かおごってもらえるかもしれません。一方で、イングランドでうっかり口に出してしま うと、もしかすれば袋叩きに合うかもしれませんので注意が必要ですね。この後、フランスの話をする時に「ジャンヌダルク」の話が出てきますが、この人に関してはイギリスでうっかり「ジャンヌダルクは可愛い」といった内容を話した場合、同じように袋叩きに合うかもしれないので気をつけてください。袋叩きというと少しオーバーかもしれませんが、例えばフランス人は非常に愛国心が強いことで有名ですし、こういった具合に歴史について認識しておくことは重要です。

もう1人、有名な人として前述した「ロバート=ブルース」という人についてですが、この人は「ウィリアム=ウォーレス」のあと を受け、イングランドを破って英雄になり、その後のスコットランド王朝の王座についた人なのです。当時一番の激戦、スコットランドにとっては争いの決め手になった戦いを「バノックバーンの戦い」と言います。これは恐らく、高校で世界史を本格的に学んだ人でないと覚えてない名前だと思います。それもあり、今日その名前を出すか否か悩んだのですが、有名な戦いなので覚えていただけると良いかなと思います。

今日の話をこの辺でまとめようと思います。まず、「スコットランド」という国名、また人の名前といったスコットランドの特徴は、外から来た「スコット族」という民族に由来しているということが1点目です。2点目は、イングランドの歴史の中にスコットランドが登場してくる時は、ほとんどが戦いの歴史であり、それが「プランタジネット朝」の頃から本格的に始まったということです。このスコットランドとイングランドは今後、非常に面白い関係を展開していくので、今後のシリーズを楽しみにしていてください。そして最後に、今回「ブレイブハート」の世界をご紹介しましたので、過去に観た方は思い出していただき、観てない方はぜひご覧になっていただければなと思います。スコットランドの英雄「ウィリアム=ウォーレス」のことがよく分かりますし、そういう人たちのことを勉強するのは楽しいと思います。

分野: 異文化コミュニケーション |スピーカー: 鈴木右文

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