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バブルが起きるとすると

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/11/13

バブルが起きるとすると、どのようなバブルか、考えてみましょう。まず、限定的局所的なバブルは、いろいろ考えられます。規制緩和などを材料にした医薬品関連バブル、防衛力強化を材料にした防衛関連株バブル、といった業種を絞ったバブルはあり得ます。あるいは東京オリンピックが材料になる場合には、東京都心だけに限定した土地バブルなどもあるかもしれません。

原油や小麦といった国際商品のバブルも起きるかもしれません。こうしたバブルの場合には、個人がバブルに踊る可能性は大きくないでしょうが、原油や小麦を使って商売をしている会社にとっては、値上がりする前に多めに仕入れておくべきかどうか、迷う所でしょう。

アベノミクスがバブルの原因になるとすると、金融緩和を前提としたバブルが考えられます。金融緩和により、ドルと株は値上がりしましたし、景気も回復しましたが、消費者物価の値上がりは日銀の目標である2%には届きそうにありません。こうした状況が続くと、景気は非常に良くて企業の利益は高水準で、ドルは高くて輸出は順調に伸びて、株価は順調に値上がりを続けているけれども、消費者物価は相変わらず上がらない、という事が起きるかもしれません。

日銀としては、消費者物価が上がらない以上、金融緩和を続けざるを得ません。したがって、当分の間は金融の引き締めは無いでしょう。そうなれば、人々は安心して株を買うでしょう。他の人々が安心して株を買うならば、株価は値上がりするはずだから、自分も株を買って大丈夫でしょう。こうして人々が株を買うと、バブルが起きるかも知れません。

しかし、これは危険なバブルです。ある時日銀が、「消費者物価の目標よりもバブル潰しの方が大事だから、金融を引き締めることにした」と宣言する可能性があるからです。日銀が緩和を続ける事を前提にしたバブルは一気に崩壊し、株価は暴落するかも知れません。更に言えば、実際に日銀が何も言わなくても、「日銀がそう思っているらしい」という噂が流れただけで、株価が暴落する可能性も十分あるからです。

珍しいケースとしては、悪い噂がバブルの源となる事も考えられます。日本は財政赤字が大きすぎて、日本政府が破産するらしい、といった噂が流れるとします。そうなると、次に流れる噂は、「外国人が日本国債を売って、資金を本国に持ち帰るらしい」ということでしょう。そうなると、ドルが高くなるはずなので、噂を信じた人々がドルを買い、実際にドルは高くなるでしょう。そうなれば、外国人たちは焦ってドルを買うかも知れません。急いで円を売らないと、日本に投資した資金がどんどん目減りしてしまうからです。それを見越して一層多くの日本人がドルを買えば、本格的なバブルです。

これは、悪い話ではないかもしれません。日本政府は莫大な外貨準備を持っていますから、これが高値で売れるかも知れません。ドル高で景気が良くなれば、税収が増えて財政赤字が減るかもしれません。不思議なことに、日本政府が破産するという噂が流れたことによって、日本政府の財政赤字が減るかもしれないわけです。

最後は、本格的なバブルが起きる可能性です。日本は少子高齢化が進むので、日本経済の将来はそれほど明るくないと思われています。そうした時には本格的なバブルは起きにくいのですが、可能性が無いわけではありません。ここから先は、近未来小説としてのバブルを考えてみましょう。

高齢化が進むと、物を使う人は減らないのに物を作る人が減るので、労働力が不足します。つまり、バブル崩壊後の日本経済を悩ませて来た失業問題が自然と消えてしまうのです。労働力が不足すると、効率化のための投資が行なわれて、日本経済が全体として効率化していけば、インフレも失業も気にせず経済が成長していける時代が来るかも知れません。

労働力が不足すると、失業を気にせず増税が出来る事になります。今は、消費税を上げたら景気が悪くなって失業してしまう、という反対論も多いのですが、そうした反対論がなくなるからです。すると、比較的簡単に増税が出来るようになり、財政赤字も意外と早く縮小するかもしれません。

少子高齢化で経済が縮小し、財政が破綻するかも知れないと言われていた日本経済が、インフレも失業もない順調な成長を続け、財政赤字も縮小していくとなれば、各国の高齢化のお手本として国際的にも高い評価を受ける事になるでしょう。そうなれば、「日本経済は素晴らしい。株式市場は今まで日本経済を低く評価しすぎていたので、正しい値段に向けて大幅に上昇するはずだ」ということになり、株価は上昇し、人々は一層日本経済に対する自信を深めて株式投資をするようになる、かもしれませんね。

まとめ: バブルが起きるとすると、限定的局部的なバブル、国際商品のバブル、金融緩和が続く事を前提としたバブル、ドル高バブル、高齢化に順応した事を過大評価したバブル、などが考えられます。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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