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シェールガス革命に湧く米国

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

13/09/05

Hydrogen Student Design Contestの表彰式会場だったワシントンDCのコンベンションセンターでは、ACT EXPO 2013(Alternative Clean Transportation、代替燃料と先端輸送車両技術に関する北米最大のコンベンション)が開催されていました。会場全体でCNG(Clean Natural Gas)の文字が目立ち、さながら"シェールガス一色"といった趣でした。

シェールガスとは、これまで採掘技術がなかったため頁岩(けつがん)中に閉じ込められていた天然ガスを指します。近年採掘技術が確立されたため、全米各地で採掘が始まりました。埋蔵量は、米国の現在の使用量の60年分とも100年分とも言われています。

オバマ大統領は、6月25日にCO2削減のため火力発電所に新たな規制を導入し、省エネや再生エネルギー利用を促進することを発表しました。CO2排出量が多い石油から、よりクリーンな天然ガスへの転換を促す意味合いがあります。

ACT EXPOでは、例えばオイルメジャーのシェルが天然ガスステーション整備計画を発表していました。まずは、長距離輸送用の大型トラック、および鉱山での大型トラックを主なターゲットとしてガスステーションの整備を進めていくとのことです。
会場では、従来のディーゼル燃料やガソリンに比べて、CNGは40%ものコスト削減をもたらすという効果を大々的に謳う展示もありました。

確かに会場を見渡すと、大型トラックメーカーによるディーゼルと天然ガスとのデュアル燃料車の展示が目立ちます。小型車は、BMWやホンダなどの市販車両の改造車(ガソリンと天然ガスのハイブリッド車)の展示はありますが、説明員によると、まだコストダウンの目処が立っていないため、あくまでもデモンストレーションとのことです。まずは、天然ガス車は大型車両から普及が進むことになります。

シェールガスに圧倒されているが、バイオ燃料システムの展示もされています。食品工場などから出る廃棄物から"バイオCNG"を取り出し、ガソリンとのハイブリッド車に利用する仕組みが提案され、ルイジアナ州警察のパトカーに一部実験的に導入が進んでいるとのことです。

残念ながら、燃料電池は脇に追いやられている感があります。コンテスト主催団体のトップは、むしろ日本や欧州の燃料電池車の開発の動きに注目していました。

米国にエネルギー革命をもたらしているシェールガスですが、環境破壊面での懸念や、予想される埋蔵量通りに採掘できるかという懸念もあります。これは、今後利用が進む中で、現実的な姿が明らかにされるでしょう。

しばらくは、米国のシェールガス革命から目が離せません。

今回のまとめ:米国のクリーンエネルギーの中心は、今や完全にシェールガスにシフトしています。従来大きく依存していた石油からCNGへどのようにエネルギーシフトが進むのか、注目に値します。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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