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マーケティング1980-1990年代

出頭則行 マーケティング

13/08/01

「日本のマーケティング史」シリーズ3回目の今日は80年代から2000年代の20年間についてお話しします。

昨日と同じように、この時代のF1層を代表して、ラジオパーソナリティこはまさんの心象風景、心のつぶやきから始めたいと思います。こはまさんよろしくお願いします。

〈こはまさん〉
衣食に困るわけではなく、人並みの生活をしているので、自分の階層はどこかと問われれば、中流と応えざるを得ません。しかし、中流という言葉にある「人並み、平均的、一般的」というニュアンスは好きになれません。私はあくまで私であり、人並みとか平均とか一般でくくれない個性を持っているはずだからです。所有欲が特別強いとは思いませんが、身に付けるものにはこだわりがあります。ですから自分の気に入ったものしか持ち歩きたくありません。友人からは、「ブランドマニア」と言われますが、決して贅沢なわけではありません。今使っているフランス製のバッグもブランド品ではありますが、小遣いを溜め込んで買ったものです。私が持ち歩き、身につけるブランドは私の趣味やライフスタイルのシンボルです。ですから、同じブランド品を所有する人たちには仲間意識を感じます。同じように、趣味やライフスタイルを共有する友達との集いは楽しいと感じます。

〈出頭先生〉
ありがとうございます。この時代に日本ではバブルが起きています。1980年代の日本には、世界にもまれな光景があって、ルイ・ヴィトンのバックを女子大生が持っていたりしました。それから、新入社員がローンでBMW3シリーズを買うというようなことが起きていました。衣食足りて、消費活動というものが多様化し、個性化していった時代なのです。80年代以前に見られた、「マスの一員であることが、安心感に繋がっていた」という時代から、「マスの一員でくくられることに異議を申し立てた時代」に移り変わったと言えます。つまり、「自分がマスの一員であることに満足できない」という時代です。「マスの一員でありたくない。」「自分はもう少し個性がある。」そういった声が聞かれ始めました。

その傾向が消費にも現れてきて、この時代からマーケティングに「ライフスタイル分析」というのが取り入れられ始めました。マスの時代は「ライフスタイル」をあまり考えていませんでした。私も広告会社にいましたが、80年代以前は、年齢と性別、普及品かハイエンドの商品か、程度の考えで、殆どのマーケティングができていたのです。消費者の人生観や趣味、価値観がどうだというのは、少なくとも70年代位にはありませんでした。この時代(80年代)にマスで一員であることに飽き足らず、自分の個性を発揮したい層が出てきていて、前述の「ルイ・ヴィトンを買う女子大生」や「BMWを買う新入社員」の出現となります。このことは、経済合理性では考えにくく、彼ら彼女らは人生観・ライフスタイルで買っているとしか思えないわけですよね。そのような消費活動が色々なところに行き渡ったため、従来の性別や年齢というようなものに加え、「彼らの人生観やライフスタイルはどうなのだろう」ということがマーケティングに取り入れられ始めたのがこの時代なのです。

マスの時代の「シェアオブボイス(Share of Voice)」という話をしましたが、大きな声でキャッチーに訴求するのとは少し違ってきて、ターゲットの心の琴線に触れるようなマーケティングになっていきました。ですから、マスの時代が「シェアオブボイス(Share of Voice)」だとすると、この時代(1980-2000)は「シェアオブマインド(Share of Mind)」指向になります。「シェアオブマインド(Share of Mind)」のマーケティングでは、ターゲットを選ぶ際にまず、①セグメンテーションをします。そのように市場を細分化した後、②ターゲットを選び取ります。選び取る時には、ライフスタイルを入れた選び取り方をして、最後にそれに対して商品を③ポジショニングします。即ち、「セグメテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」、「STP」といわれるものが、ライフスタイルマーケティングの3点セットのようになった時代なのですね。

この時代の代表的なキャンペーンには、糸井重里さんがコピーを書いた「不思議大好き」(百貨店)、「けい子さんのセブンイレブン」「食う、寝る、遊ぶ」(車)などがありました。これらのキャンペーンはライフスタイルを訴求していいます。

今日のまとめです。80年代、2000年代のM1F1層はライフスタイルを共有する仲間に帰属することを望んでおり、すなわちセグメントマーケティングの時代であるということです。

分野: マーケティング |スピーカー: 出頭則行

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