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知的財産権 (1)「制度の概要」

永田晃也 技術経営、科学技術政策

13/06/17


 先日、この放送のホームページをみていた折に、これまで「知的財産」に関するトピックがほとんど取り上げられてなかったことに気付きました。知的財産権の取得や権利行使は、私の専門分野であるイノベーション・マネジメントの中でも重要な課題として位置付けられるものですから、これから何回かに亘って、知的財産権について解説してみたいと思います。
 「知的財産権」(intellectual property rights)とは、人間の知的創造活動の成果について、その創作者に付与される権利です。
 ただ一口に「知的創造活動」といっても様々な活動がありますから、その権利を保護する制度も多岐に亘っています。
 特許庁の分類では、知的財産権の種類を、まず大きく「知的創造物についての権利」と「営業標識についての権利」に分けています。

 「知的創造物についての権利」は、創作意欲の促進を目的としており、以下の権利が含まれています。
・ 発明を保護する特許権
・ 物の形などに関するアイデアを保護する実用新案権
・ デザインを保護する意匠権
・ 文学、学術、芸術などの創作物を保護する著作権
・ 半導体集積回路の回路配置の利用を保護する権利
・ 植物の新品種を保護する育成者権(種苗法による保護)
・ ノウハウや顧客情報などの営業秘密に関する権利(不正競争防止法による保護)

 一方、「営業標識についての権利」は、信用の維持を目的にしており、以下の権利が含まれるとされています。
・ 商品やサービスに使用するマークを保護する商標権
・ 商号(商業上の名称)に関する権利
 この他、商品の表示や形態に関する権利は、例えば紛らわしい表示や形態を用いる行為を不正競争防止法が規制することによって保護されています。

 以上のうち、特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つをあわせて「産業財産権」と言っています。
 かつて「知的財産権」は「知的所有権」、「産業財産権」は「工業所有権」と呼ばれていました。しかし、所有権とは本来、物の所有に関する権利を意味していますが、知的創作活動の成果は物ではなく、財産的価値を持つ情報ないし知識であるため、「知的財産権」、「産業財産権」という表現が選ばれるようになりました。

 物の所有権ではなく、情報ないし知識に関する権利であるという知的財産権の特質は、経営戦略を考える上で重要な意味を持ちます。これから扱うトピックの中では、知的財産権を戦略的に活かしていくための考え方などに触れていきますが、その前にもう少し制度の内容をみておきたいと思います。

次回は、知的財産権のうち特許権を取り上げます。

今回のまとめ: 知的財産権とは、人間の知的創造活動の成果である情報ないし知識に関する権利を言います。

分野: 知的財産 |スピーカー: 永田晃也

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