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アベノミクスと日銀総裁

村藤功 企業財務 M&A

13/04/02

今日は、アベノミクスと日銀総裁についてお話しします。

民主党から自民党へ政権が戻って以降、安倍首相は経済再生の三本の矢として金融緩和と成長戦略、機動的な財政出動を挙げて、デフレを脱却しようとしています。私的にこれらに〇×△をつけてみます。成長戦略については、どのみちやる必要があり、○です。機動的な財政出動については、政府の借り入れが多くなって元から赤字の財政がもっと困ったことになるので、×をつけます。金融緩和には△をつけます。インフレ・ターゲットを2%としていますが、ちょうど2%くらいを目指すというのは結構難しいのです。デフレを脱却することはいいのですが、日本にとって最悪のシナリオは、赤字国債発行の有利子負債が非常に大きくなっている中で、日銀がお金を刷りながら国債を引き受けることです。そうなるとハイパーインフレが生じ、超円安が進行し、日本に滅びの時がやってきます。したがって、デフレとハイパーインフレの間である、2%を目指すわけですが、ずるずるとハイパーインフレの方へ行かないよう、気を付けていただきたいものです。

金融緩和に反応した為替市場では、一ドル79円が95円へと、20%くらいの円安となりました。株式市場でも40%くらい上がって、8,600円だったものが12,000円を超えてきました。今のところマーケットではいい案配となっていますが、今後一体どうなるのか。まず安倍首相は、経団連や同友会に対して、賃上げを促しています。それに答えて、コンビニなどで少しずつ賃金が上がりはじめています。しかし、本当に経済が回復したかどうか不安もあるでしょうから、どの程度こうした賃上げに追従してくれるのかわかりません。また安倍首相は、過去のデフレの責を政府ではなく日銀に求めました。そして白川氏は辞職し、後任に財務省出身の黒田氏が総裁に就任しました。彼はフィリピンのマニラに所在するADB(アジア開発銀行)の総裁を務めた人物です。黒田氏率いる日銀は、大量の国債を購入するのではないかと言われています。これまでは残存期間が短いものしか買ってきませんでしたが、期間が5年以上の国債もこれからは購入する見通しが出てきています。また国債だけでなく、株を購入するのではないかという可能性もあります。現在既にある金融緩和策を前倒しすることを検討する予定もあります。副総裁には、大学教授である岩田氏が就任することになりました。

先にも述べましたが、新体制では、およそ2年間の計画で、2%のインフレ・ターゲットを達成しようとしています。しかしこれが5%や10%、20%となると歯止めが効かなくなり、100%や200%、500%となると、皆さんが一生懸命貯めたはずのお金が紙切れとなってしまいます。黒田氏と岩田氏のコンビによって、一生懸命お金がつぎ込まれて金融緩和が行われ、その結果インフレになることは明らかでしょう。現在既に1%程度になってきていますが、急に上がると危険ですので、やはり2年くらいかけて2%を目指すようです。

今日のお話のまとめです。安倍首相が金融緩和によってデフレ脱却を目指しているところで、積極財政派の黒田氏が日銀総裁に、学習院大学の岩田氏が副総裁となりました。彼らは2%のインフレ・ターゲットを目指していますが、お手並みを拝見してみましょう。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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