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中国⑩内陸部

村藤功 企業財務 M&A

13/04/01

中国はインドと異なり、中央によるコントロールが結構しっかりしています。華南から華中、東北、そして内陸と、順番を決めた上で経済発展を行っています。

中国の半分は、もともとは漢族以外のほかの民族のものでした。モンゴル人、ウイグル人、チベット人など、漢族以外の人たちの自治区が結構あります。前回お話ししたように、満州人はほとんど同化してしまっているので自治区はありません。しかしほかのモンゴル人やウイグル人、チベット人は、独立を主張することがあります。しかし、実は独立を掲げる人たちは必ずしもマジョリティではありません。これまでモンゴルやウイグル、チベットへ中国政府が経済発展を求めて投資してきているため、多くの人たちが、経済成長が見込めるなら中国の一部でもかまわないと考えているのです。漢族の中でも、これまでお金を山のように注ぎ込んでいるのに独立を主張するのであれば、彼らを切り離し、お金を使わないようにしようという人たちもでてきています。

少数民族は、日本のマスコミが報道するほど弾圧される一方ではありません。中国の少数民族には少数民族優遇策があります。大学受験に際しても優遇政策がとられ、加点されることがあります。中には、少数民族のふりをして大学へ入学する漢族もいて、問題になっているほどです。一人っ子政策も適用されず、少数民族は子どもを二人持ってもいいことになっています。東で儲けたお金を内陸部へ注ぎ込むこともやっており、今はまだ貧しい状況ですが、今後発展するはずだと皆考えています。ですから、独立を主張する人は少数派という状況なのです。

内陸部では、沿海州でもそうですが、さまざまな自然資源が豊富にあります。農作物も沢山あって、新疆ウイグル自治区では色々な果物があります。中国語では果物のことを水果(シュイグオ)といい、人々が果物屋(水果店)に群がっています。新疆産の棗(ナツメ)を干したもの(新疆大棗:シンチャン・ダーサオ)が、市場で ピンキリの値段で売られています。若く美しい女の子でいるためには、これを何斤(一斤は500グラム)でも買って食べ続けると効果があるとのことです。

しかし中国は本当に深いです。これまで私は、普通の中国人以上にいろいろな場所へ行ってきましたが、何一つわかった気がしません。あらゆるところで、いろいろなことが起こり続けている感じです。スーパーマーケットや食品売場でも、日本の何倍も色々なものが置かれています。本当に豊かな国です。現在の為替レートを前提とすれば、中国の物価は、現状の三倍か五倍くらいになっても、本当はおかしくありません。中国のGDPが日本に追いついたということが二年くらい前に言われていましたが、購買力平価で言えば十年以上前にとっくにそのようになっていました。とにかく豊かな国ですから、19世紀の頃には欧米列強が群がってきたわけです。イギリスには中国から貰いたいものがありましたが、中国へあげるものは持ち合わせていませんでした。中国人は何でも持っているから、何も要らないというわけです。そこで仕方がないので、インドへ綿織物を持っていきインドからアヘンを持ち込むことになったのです。一方、日本には何もありません。何もないから、海外のあらゆるところから買って持ってくるのです。しかし中国人は何でも持っています。どこかへ行けば、いろいろな所からすべてが出てくるのです。

今日の話をまとめます。日本のマスコミの言うことを聞いていると、中国の少数民族は漢族に虐められており、独立を望んでいるようにみえます。しかしそれは物事の一面に過ぎず、成長する中国とともに経済成長を遂げたいと思っている人たちもたくさんいるのです。華南から華中、東北部まできた経済発展のフェーズが、今ようやく内陸部へ至ろうとしているところなのです。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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