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京セラの経営理念(六つの精進)(1)

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

13/04/24

今日は、京セラの経営哲学・経営理念に関連して「六つの精進」ということで、コーポレートガバナンスも含め、ビジネスや人生における基本的な考え方と行動の仕方についてお話をします。

コーポレートガバナンスは企業統治、会社は誰のものかという難しい議論になりますが、その場合経営哲学的な考え方が非常に重要です。何の為に会社経営をやるのかを考えた上で、経営者だけでなく従業員もベクトルを同じにする必要があります。ベクトルが同じになっていると、すべての人の努力の方向が同じ方向に向くので、経営哲学的が上手く浸透している会社では、一般に業績も良好です。経営哲学的、要するに基本的な考え方の一つとして、経済道徳的な六つの精進があります。それが結果として、自分にも他人にも社会にも良い、「三方良し」になっています。

「六つの精進」
① 誰にも負けない努力をする
② 謙虚にして驕らず
③ 反省のある毎日を送る
④ 生きることに感謝する
⑤ 善行、利他行を積む
⑥ 感性的な悩みをしない

この六つの精進は京セラの経営哲学として、名誉会長の稲盛和夫氏が提唱したものです。彼は、周知のように、日航を再建した人でもありますが、従業員とも分け隔てなく話をする人であり、非常に多くの人に慕われている人です。

① 誰にも負けない努力をする
六つの精進の一つに、「誰にも負けない努力をする」ということがあります。これは当然の事ですが、これをサボっている人が結構多いのです。特に日本人にはそのような人が少なからずおります。何故なら日本は世界的に見て経済的に最も豊かな国の一つになっているからです。世界の先進国でGDPが世界3位の先進国で、過去の遺産で食べていけるわけです。積極的ではなく消極的でもなんとかなる状況です。したがって今の日本には積極性が欠けていることが少なくありません。そうではなく、ビジネスにおいても人生においても、日々誰にも負けない努力をすることが非常に重要です。これは自然を見ると明らかです。植物や動物は一生懸命必死で生きています。例えば、植物は日光が良く当たる所へ必死に枝を伸ばしていきますが、これはすごいことです。また、動物は弱肉強食の世界に生きており、食べられないように必死に生きています。ですから動植物に学ぶつもりで、ビジネスや人生において積極的に頑張っていこうというのが、誰にも負けない努力をすることだと思います。

② 謙虚にして驕らず
次に、「謙虚にして驕らず」ということです。稲盛氏が日航を再建するために、最初に会社に行った時、日航の社風はどちらかといえば、親方日の丸という体質になっていて、日航が駄目になったら政府が助けてくれるであろうというような社風があったと聞きます。日航にはバックに政府が付いており、自分達は偉いと思っているような感じがあったということです。ビジネスでも人生でも謙虚であることが、非常に重要です。過去の成功、あるいは大学の先生や社長等になると自分は偉いのだと思い込み、謙虚でなくなり、素直にアドバイスなどが聞けなくなります。そうすると段々情報等が挙がらなくなり、正確な判断や経営戦略等がとれずに、結局は没落していくことになります。「初心忘れるべからず」のように、入社した時には頑張る気も謙虚さもありますが、だんだん出世してくるそれを忘れてしまいがちです。同様にベンチャーなど起業当時は一生懸命です。何故なら、やらざるを得ないからです。しかし、会社が成功し、大きくなるにしたがって段々と謙虚さがなくなりはじめ、駄目になっていきます。したがって謙虚さは会社でも普段の生活でも非常に重要です。

③ 反省のある毎日を送る
もう一つは、「反省ある毎日を送る」ということです。僕など反省する事が毎日いっぱいあります。勉強のために、失敗してもいいと思いますが、それも1回だけです。つまり、人間なので必然的に失敗はしますが、それを2回3回と繰返してはいけません。それを繰返さない為に、日々反省し、失敗から学ばなくてはなりません。学習効果を上げ日々反省して、失敗しないためには次にどうしたらいいかを毎日考えていくという事が必要です。非常に日常的な事で特にこれという事はありませんが、当たり前の事をしっかりやることが非常に重要です。

今日は六つの精進のうち、三つを紹介しましたが、今日のまとめは次の通りです。ビジネスや人生において、常に努力を重ね、謙虚で驕らず、日々反省しながら向上していくという基本的な考え方と行動が非常に重要であるということです。

〔参考〕京セラのホーム・ページ「六つの精進」
http://www.kyocera.co.jp/inamori/management/devoted.html

分野: コーポレートガバナンス 会計 |スピーカー: 岩崎勇

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