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世界のクルーズ市場

星野裕志 国際経営、国際物流

13/03/27

最近新聞広告などで、クルーズ旅行がとても目につくように思われませんか。いよいよ日本でもクルーズが身近になってきたことを感じます。今日は世界のクルーズの市場を概観して、明日は福岡を中心とする日本のクルーズ事情と経済効果について説明をしたいと思います。

世界のクルーズ市場がどのくらいの規模なのかというと、昨年には世界で2,033万人が利用しており、その経済効果は3.5兆円といわれています。去年の日本の外国人来訪者は837万人程ですから、世界ではその約2.5倍の人たちがクルーズを利用したことになります。誰がどこでクルーズを楽しんでいるのでしょうか。世界のクルーズの最大の市場は北米です。カリブ海が世界のクルーズの中心と言えますし、アラスカ沿岸も人気です。利用者でいえば、約6割はアメリカ人を中心とする北米の旅行者です。次が大きく離れてヨーロッパの27パーセントです。ヨーロッパといえば、エーゲ海クルーズが思い浮かびますし、地中海や北ヨーロッパがクルーズの中心です。

次に、現在では市場シェアこそ世界の6.5パーセント程度ですが、無視できないのは、アジアの市場です。中国の富裕層を中心に需要が確実に伸びており、2009年には、アジアの利用者が150万人を突破しています。それが博多港に入港するクルーズ船につながってくるわけです。ちなみに、日本のクルーズ人口は、昨年の実績で20万人程度です。アメリカの人口に占める割合が3パーセントであるとすれば、まだ日本は0.1パーセント程度です。

僕自身もクルーズに行き始めて、もう20数年になりますが、クルーズ自体もこの20数年にかなり変化しているように思います。ひとつは大衆化です。今までクルーズといえば、豪華客船というイメージがあったと思いますが、今は「スタンダード・クラス」といわれる一泊70ドルから300ドルクラスのクルーズ船が全体の約8割を占めています。海外旅行の出費を考えてみてください。ホテル代、移動の交通費、3食の食事やお茶、観光その他のアトラクションを含めて、一日70ドルから300ドルと思えば、若い人でも十分に手の届く範囲です。ちなみに、「スタンダード・クラス」のクルーズは3−4日から1週間単位が中心です。よりグレードが高いクラスは、「プレミアム・クラス」と最上級の「ラグジュアリー・クラス」といわれるもので、一日あたりの料金も300ドルから2000ドル近くまでかかりますし、また日程も長くなる傾向があります。

大衆化と同時に利用者の年齢が大きく下がってきています。1995年の利用者の平均年齢は65歳とまさに引退した人たちの楽しみであったものが、2005年には45歳に大きく下がりましたし、新婚旅行での利用も増加してきたと言えます。それに伴って、いつも快適なカリブ海だけではなく、新たな寄港地を求める事にもなり、アジアを含めた新しい市場の開拓にもなってきているのだと思います。

もうひとつの傾向は、少数のクルーズ会社による市場の寡占化です。世界最大のカーニバルという会社は、20のブランドを持って、一社で市場の48.4パーセントのシェアを持っています。博多港に時々寄港するコスタクルーズもそのグループの企業ですし、かつてのクイーンエリザベス号などを保有した名門のキュナードなども傘下にあります。また市場シェアの二位は、やはり博多港に大型のクルーズ船を寄港させているロイヤルカリビアンクルーズラインという会社で、5つのブランドを合わせてそのシェアは23.3パーセントです。二社を合わせただけで、世界の7割のシェアを握っていることになりますし、多くのブランドを抱えていると、それぞれの市場が重複しないように、対象とするセグメントも運航する地域も差別化しようとします。それが最近のアジアへの注目であり、九州の寄港です。

今日は最近耳にすることも多い話題として、世界のクルーズ市場についておはなししました。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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