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中国⑦外交

村藤功 企業財務 M&A

13/02/14

産業革命前までは、中国とインドが世界の半分を占めていました。産業革命を経てこの二国は落ちこぼれてしまいましたが、中国は歴史上のアジアの中心は自分だったと今なお考えていて、ヨーロッパやアメリカが世界のルールをつくっている現状に不満を覚えています。中国外交の背景には、以前のような立場を復活させようという思いがあります。何千年の歴史を持つ中国にしてみれば、中国は最近少し力を落としてしまったにすぎないといった程度の認識なのです。

アヘン戦争の結果、香港をイギリスにとられました。当時は、中国の中心から遠く離れた南方のことはどうでもいいという風にも考えていたようです。1997年に香港がイギリスから返上されましたが、その際、九龍半島と新界も一緒に戻ってきました。しかし香港と九龍半島は、実は中国があげてしまったものなのです。租借されていたのは新界だけなので、あとの二つは返されるものではなかったのです。しかし、新界を返した後に香港や九龍半島を持ち続けるのはインフラ維持が大変だと考えたイギリスは、三つとも中国へ渡すことを選びました。その際、香港の人びとが中国に組み込まれることを嫌がったため、一国二制度が敷かれることとなりました。

現状、アメリカと中国の二強時代に突入しています。軍事費だけ見ると、アメリカが一番多く、額自体はかなり小さくなるものの、中国が二番につけています。こうしてアメリカと中国が世界を決める状況に入ってきていますが、世界の大国は三つあります。ロシアがここに入ってくるのです。第二次世界大戦後の世界の最大の軸は、アメリカ対ソ連にありました。ソ連は今はロシアとなっていますが、なおロシア連邦という連邦国家です。また中国も、漢民族だけでなく他の多くの民族を抱えており、連邦のような形になっています。このように、三つの大連邦が存在し、それぞれ戦っているわけです。アメリカと中国が戦えば、真ん中にある日本が死んでしまいます。ロシアと中国が戦えば、真ん中にあるモンゴルがなくなってしまいます。三つが戦いだせば、世界はきっとなくなってしまうでしょう。なおこの三国は、広さの面においても圧倒しています。アメリカや中国は日本の25倍、ロシア連邦は4、50倍の国土をそれぞれ持っています。特にロシアは、ヨーロッパから日本に至るまで東西に広く、11個の時間帯に分けられています。強大な影響力を今なお持ち続けるロシアへは、以前に訪れたことがあります。その時は零下30度の寒さで、外へ出ると肌がピリピリして、出た瞬間に鼻毛がピシピシピシと凍るようでした。

ロシアは一度アメリカに敗北したため、中国とアメリカが世界の二強であると中国は考えています。その外交は、かつてのように世界の中心へ戻ることを念頭において行われています。現在のところアメリカが中心となっているため、アメリカと中国の二国で世界を決めることを視野に入れています。

ここ50-100年ほどの間、日本は中国に先んじてきましたが、その前には中国の方が進んでいた時代が何千年もありました。日本は現在中国が日本の製品を真似していることを非難していますが、日本のひらがなやカタカナも、中国の漢字を持ち込んで簡略化したものでした。日本は中国の制度文化の多くを取り入れてきたのです。お互いに良いものは真似するものなので、一概に非難ばかりもしていられません。

日本は、大国であるアメリカや中国、ロシアとは喧嘩をしないように、仲良くやっていく他ありません。別に憲法を変えて独立性を持ってもかまいませんが、いまさら軍備を強化したところで、大国と戦争して勝てるような話ではありません。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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