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映画で学ぶ経営:「映画で見る女性力と地域再生」

久原正治 経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)

12/12/31


前回、地域の再生は女性のパワーに掛かっていると話しました。それはなぜかというと男性中心の製造業がどうしても身動きがつかなくなって新しいものを女性が持ってこないといけない、ということでした。映画を見ているとまさにそういうテーマのものがあったので、今回いくつか紹介したいと思います。


■『綱引いちゃった!』(2012年)

これはまだ現在公開中、大分市役所の広報課員の女性(井上真央)が、「大分市の知名度が無くなって衰退していくのをなんとか変えなさい」という市長の特命の元、綱引き大会に出場し活躍するという話です。大分市が給食センターに勤めているパートの女性をリストラするという事件が起きます。その人たちに「もしリストラされたくなかったら綱引き大会に出て、大分市をPRしたらどうか」と言うわけです。

こういう話から始まって、主人公のお母さん役(松坂恵子)を含む8名の綱引きチームが結成されます。そして非常に個性的なメンバーが中々纏まらないなどの様々なハードルを乗り越えて、最後には綱引き大会に出場するというもので、そこから女性のパワーを垣間見ることができます。従来大きな製鉄所や化学会社中心の製造業の街であった大分市が、女性のパワーで新しいものに変わるという映画です。

実際に大分市長の部屋にはこのチームの写真が飾られているようです。


■『人生、いろどり』(2012年)

今年(2012年)の9月に公開された映画で、徳島県の上勝町という資源がなく高齢化、過疎化が進んだ町が舞台となっています。主人公がある時この町に葉っぱが色々あるということに気付き、この葉っぱを高級な料亭などの料理の"つま"として売り出すというストーリーです。これを女性の、老人グループがアイディアを出し、実際ビジネスにして、これを2億円ビジネスにまで成功させた実話に基づいています。

実際にこのビジネスをやった人をテレビで見たのですが、89歳という高齢の方がこういう葉っぱビジネスでちゃんと稼いでいるということで、高齢社会が活性化したという視点でも面白い映画でしょう。また、吉行和子と富司純子と中尾ミエが熟年のおばさん役をやっていて、映画としてもなかなか面白い映画でした。

地面に落ちている葉っぱをみて「これで商売!」という発想は普通なかなか湧かないでしょうが、女性ならではの感性でそれがピンと来たのでしょう。そしてそれが老人の方がやはりいい葉っぱを集められて、自分達の健康にも役に立つわけですし、小遣いにもなるということでうまく成功しているわけです。


■『フラガール』(2006年)

これは2006年のアカデミーの最優秀賞をとって125万人の人が見て、興行収入15億円で大成功した映画です。男性がこれまで製造業とか伝統的な農業をやってきていたが、地域の再生はそのような従来の発想とは異なる新規のことを女性がやる。

この映画は、福島県のいわき市という寂れる町で炭鉱に変わって何をやろうかという時に、フラダンス(ハワイアンショー)をやってハワイアンセンターで炭鉱を再生させたというもので、これもまさに従来の男社会では到底思いつかないものです。

従来は男社会でどちらかというと抑圧されていた女性達が、田舎のど素人であったのに一生懸命練習して社会に出て、町を成功させて、地域が生まれ変わっていくという話で、フラガールこそが『人生、いろどり』や『綱引いちゃった!』に繋がる完全に女性が地域再生の立役者となった映画でしょう。


そしていわき市では現在先の震災からもまた立ち上がっていこうという動きもあります。

いわき市は現在新しいチャレンジに直面しているのですが、これも男性が議会に陳情してお金をもらってくるという従来型のものではなく、女性たちが自ら地域を再生することに繋がっていくと思います。

地域というのは伝統的な製造業、あるいは炭鉱のような男社会のアイディアだけでは新しい再生は中々できないということです。今回映画を通して紹介したように、個性豊かで優秀な女性からまったく新しいアイディアが生まれ、地域を変えていくという映画がいくつもあるので、是非皆さんに見ていただきたいものです。

分野: 経営学 |スピーカー: 久原正治

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