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幸福のトライアングル

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

12/11/14

■幸福の三条件
前回からお話しているコーポレートガバナンスの「企業理念」に関して、今回は、京セラやコカコーラウエスト等の企業理念に掲げられている「幸福」について中身をより深く掘り下げていきます。

そもそもみなさんどういう時に幸福を感じるでしょうか。例えば、美味しい物を食べた時やいい仕事をやり遂げた時など様に、充足感・満足感が得られたときに、幸福を感じると思います。このような、誰もが望んでいる幸福を得るためには、次の「三条件(ゴールデントライアングル)」を満たすことが必要であると考えられます。三つとは、絶対積極、絶対和(の精神)、絶対感謝の三つです。


■絶対積極
第1は、「絶対積極」というものです。まず注意すべきことは、積極には、相対積極と絶対積極の二つがあるということです。普通の積極に「絶対」が付くと付かないで全く意味が異なりますので、注意してください。まず「相対積極」とは、一般に使用されている用語で、あるものに対して「消極」「積極」という意味での積極性のことです。

他方、ここでの「絶対積極」とは、次の二つの意味で、通常の(相対的な)積極性とは異なります。すなわち、一つは、ここで絶対積極というのは、いつでも、如何なる場合でも、理由の如何を問わず「常に積極的である」という意味です。

常に積極的にものごとを考え、かつ行動していくことです。これにより、趣味や仕事をやり遂げた時の様な満足感が得られる前提が出来ます。また、二つ目は、ここで絶対積極というのは、怒り、恐れ、悲しみというようなネガティブな感情を持たない(ように常に努力して、その結果ネガティブな感情のない)状態のことです。このような怒りとか悲しみとか不安とかネガティブな状態がない世界なので、絶対積極であれば、それだけも幸福です。常にポジティブ+ネガティブがない(ネガティブな感情を持たない)のですから、常に幸福な状況になります。


■絶対和
第2は、「絶対和(の精神)」です。これに関しては、二つの注意点があります。一つは、社会的なことに関する事項に関することと、私情に関することの区別です。ここでは、前者の社会的な面については扱っておりません(社会的な事柄、例えば、社会正義に関して、それが侵害された場合に、怒るのは当然のことです。)。もっぱら後者の私情に関することについての議論ですので、注意してください。

二つ目は、私情に関する和の精神についても、相対和(の精神)と絶対和(の精神)という二つのものがあるということです。そして、通常、皆さんがやっているのは相対的な和(の精神)の方です。すなわち、相対和(の精神)というのは、例えば、人に親切にされたら自分も親切してあげるというような世界です。

これに対して、「絶対和(の精神)」というのは、自分の感情に関して、いつでも、誰であろうとも常に相手に対して和の精神で応接し、怒りの感情を起こさない、敵対心等を持たない(ように常に努力する)ということです。自然法則では、調和は完成を意味し、不調和(争い)は破壊を意味します。この自然の法則に従うことが、心の平安・幸福を得るためには必須なのです。


■絶対感謝
第3は、「絶対感謝」です。これについての注意点は、1つです。すなわち、これも前述の二つの要件と同様に、相対感謝と絶対感謝とがあるということです。そして、「相対感謝」は、通常皆さんが考え、かつ行っている感謝のことで、例えば、何かしてもらった時に感謝するというようなものです。

他方、ここで問題とするのは「絶対感謝」ということです。この絶対感謝とは、いつでも、どのような状況でも、どういうことがあろうとも感謝する(ように努力する)ことを指します。例えば、私たちが今この場所で(BBIQ)ラジオの収録をしている。これは非常に幸せな状況でしょう。そういうめぐり合わせの状態にあるということ自体に感謝するということです。従って、これは何かを受けたから間接的に感謝するという相対感謝ではありません。そのためには、今自分が何かしら恵まれているということを探す作業が必要でしょう。


■複眼思考
これは、別の言葉でいうと、常に「複眼思考」(眼を二つ持つこと。感情的な眼と客観的な眼の二つ)を持つことです。

どういうことかというと、まず私たちは普段「単眼(感情的な眼)」で物事を見ていて、与えられているものについて感謝をしているだけです。そして、(自分の高い満足水準から見下ろして)現在の状況が自分の欲求水準を満たしていないと、すぐに不平不満を持ち、不幸に陥っていきます。しかし、もう一つの眼(客観的な眼)を開いて自分が現在いるところ(状況)を(もっと恵まれない状況の下にある)下の方から見ると、自分の現状がすごく恵まれているということを発見できます。(感情的な眼でなく)客観的な眼(見方)から出発すると、感謝の念が自然に出てきます。

世の中に感謝すべきものがないのではなく、感謝すべき多くのものに自分自身が片眼を瞑っていて気付いていないだけなのです。例えば、昨年の東日本大震災のことを思えば、現在自分や家族が健康で生きているだけで、多いに感謝せずにはいられません。感謝は平安・幸福の元です。まず感謝から出発し(先謝)、自分は幸せなのだ(迎喜)と思えてくれば、平安という形でハッピーになれます。


■まとめ
以上のように、幸福を得るための「三条件(ゴールデントライアングル)」は、絶対積極、絶対和(の精神)、絶対感謝の三つです。

これまで述べた、心の問題としての幸せの3つ要件のプラスアルファとして、肉体的に幸せになりたい場合の処方箋をお話します。直ぐにでも、幸福になりたいと思ったときに、笑顔を作って下さい。笑顔になれば、すぐ幸せになれます。笑顔と普通の顔を比べてみてください。笑顔のときには、自分がハッピーになっているのが感じ取れるでしょう。

分野: 経営戦略 |スピーカー: 岩崎勇

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