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マーケティング手法の変化2

高橋 幸夫 マーケティング

12/09/14

前回に引き続き、マーケティング手法の変化についてお話しします。
前回は、消費者の購買行動や購買情報の取得方法の変化によって、マーケティング手法が変わってきたことについてお話ししました。今回は、商品やサービスを提供する側、すなわち企業の側からみた変革に着目して、インバウンドマーケティングについて考えます。

消費者がより深く関わる高関与商品の購買活動や、企業による組織的な購買活動(B to B、ビジネス to ビジネス)において、事前に知られるという行為がそのプロセス内に組み込まれるようになったのが、今の時代です。このような変化を受けて、売る側もそれに応じた変革を求められています。売り手と買い手の間に大きく情報格差や情報の非対称性が存在した時代には、企業は、営業担当者や宣伝広告を通じて、他の企業や消費者に情報を届けていました。営業活動や商品展示会などで受けとったカタログや資料が、買い手の購買活動の貴重な検討材料となっていたのです。当時は、検討の初期段階においても、情報を得るために営業へ声が掛かっていました。しかし、前回お話ししたように現代では、インターネットの普及によって、買い手側が事前に情報を入手し、丹念に下調べすることができるようになってしまいました。

アメリカにテックターゲット社という、インターネット関連企業があります。この会社は、企業のIT購買担当者約3,000人に対して、購買プロセスの事前調査段階において、企業の営業担当者を使うかどうかについて、2011年に調査を行いました。それによると、米国で13%、日本や中国をはじめとするアジアでも18%と非常に低い比率になっていました。このことは、半数以上がウェブによる事前調査を済ませた後に、営業や企業に接触するということをあらわしています。この状況は、特にIT関連の商品に限ったことではないと思います。

したがって、企業側としては、購買プロセスの初期段階から顧客に接触していた方が成功率が高まります。つまり、顧客が内部で行う事前調査プロセスにいかに入り込むかが重要になってくるのです。先にも述べましたとおり、多くの事前調査プロセスはウェブでの検索エンジンを介することが多いようです。ですから、検索エンジンの結果ページに、よいかたちで自分たちを表示させることがひとつの有効な手段、方法となります。どのような状況の人が、どのような言葉で検索するのか、検索結果として表示された自らのサイトを訪れた人をどのようなコンテンツで出迎えるのか、この辺りが非常に重要となってくるのです。

インバウンド・マーケティングとは、検索エンジンを用いた事前調査プロセスから始まる現在の購買プロセスに適応した、顧客から発見されること、顧客をひきつけることを主眼としたマーケティングプロセスであると捉えられます。そこには、様々な手法があります。たとえば、潜在見込み客から顕在見込み客、さらに顧客へと消費者を転換させていくという一般的なマーケティングプロセスや、SEMという検索エンジンから自社ウェブサイトへの訪問者を増やすマーケティング手法、ほかにもウェブサイトにおいて、サイト訪問者が最初に訪れるウェブページを工夫して、その訪問者が会員登録や商品購入などの収益につながる何らかの取引割合(コンバージョンレート)を高めるLPO(ランディングページ最適化)など、様々な方法があります。もっとも、従来の4Pを中心としたマーケティング手法も、近年ではなかなか効果が出ないと言われているようですが、やはりマーケティング戦略の基本にあります。これに、先ほど述べたような方法を顧客行動に合わせて有機的に連動させ、全体の効率を高めながら遂行していくことが重要と考えられます。

今回のキーワードも、「インバウンド・マーケティング」です。

分野: マーケティング |スピーカー: 高橋 幸夫

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