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地域の再生を考える(5)―地域再生は若者が担う

久原正治 経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)

12/06/20

■エコミュージアム竹田
前回大分県の竹田市がエコミュージアムという形で、自然を再生しつつ住民が参加し、町全体をミュージアムにしようという活動をしているという話をしました。特に竹田には岡城という素晴らしいお城があり、その城下町の再生プロジェクトがプロジェクトの1つとして進んでいます。その城下町が周辺部の農業、あるいは雄大な景色、例えば阿蘇、九重、高千穂、こういう空間の中で再生されようとしています。

今日はその中で活躍する30代の若手にフォーカスして紹介したいと思います。

■自然に溶け込む街を設計する
竹田の色々なプロジェクトの中に自然景観再生プロジェクトというものがあります。これは東京大学の景観研究室が、各地域の自然を活かしながら色んなプロジェクトを建設しようとしており、そこの﨑谷さんという30代の方が東京で日本中の自然を活かした遺産を整備していこうとしています。

竹田でも白水ダムという所があって、その整備プロジェクトというのが国の農業土木遺産に最近指定されました。更に竹田ではこの﨑谷さんが、岡城をどうやって上手く自然の環境と一緒にして整備していくかということをリーダーとして考えています。

彼は地方自治体の人ではないですが、東京で友達と建築事務所をやりながら東大とも協力し、それから竹田にいる若い人達と協力してこれをやっています。﨑谷さんは九州出身で、東京でそういうことを勉強して、それをまた地方に持ってこようとしているリーダーです。

前回も話しましたが地方の人に東京からノウハウを持った人が交わって、異質のものの交わりから地域が再生されることが大事で、これがその典型的なものじゃないかと思います。


■長期滞在施設BBC長湯を基盤にネットワークを広げる
また、竹田というと温泉も非常に注目されるところで、この辺りに力を入れている人もいます。長期の滞在施設であるBBC長湯というところの支配人で、崎谷さんと友人の佐藤さんという人がいて、竹田になるべく長く滞在して貰い、温泉、自然、エコミュージアム、こういったものを味わって欲しいと思いリーダーとして頑張っています。

最近では温博と呼ばれるものが、日本財団によって日本中に広げられています。温博とは温泉博覧会みたいなもので、温泉がある所で色々なプロジェクトをする参加型の滞在プロジェクトです。佐藤さんは現在、里山の音を探し初夏の長湯を楽しむというプロジェクトをやっており、中年の女性が10人ぐらいで長湯を歩きながらこの里山について、例えば俳句を詠んだりしているというような風流なことをやっていました。


■ボランティアで地域活性化を手伝う30代
またそこで面白いのが、大分県庁に勤めている岩屋さんという人が佐藤さんの同級生で、たまたま長湯が地元だということで休みを利用してこういう温博プロジェクトを手伝っていることです。県庁も色々地域の再生をやっているらしいのですが、さらにこういう風にボランティア的に活動をしていることが素晴らしいことです。

崎谷さんも佐藤さんも岩屋さんもみんな30代で、こういう方々が繋がって地域を再生しようとしています。

そういった30代の方々が中心となって頑張っている状況を見ると、これから地域を再生していく上でリーダーシップを張っていくのはこの30代なのだと言えるでしょう。

なぜ30代か。彼らには3つ特徴があって、まず若いと変化に迅速に対応出来る。それから新しい物を創造出来る。それから異質な物を受け入れてネットワークが張れる。これらは30代の特徴のでしょうし、得意分野でリーダー、トップを張れるという人がたくさんいればいるほど心強いでしょう。


■地元を愛する若者と知恵を運ぶよその若者のコラボ
複数のリーダーがお互いに集まって何かを生んでいく。地域はそういう人達を若いうちから育てていく。そういうことが地域の再生にとって一番大事な感じがします。

リーダーを育てる上で大事になることは、まず年配で経験がある人間は自分達が出しゃばりすぎずに若い人を育て、それから若い人同士は異質のもの、東京でノウハウを持っている人を余所者と見なさずに一緒にやっていくということです。そうすると東京の人も地域の素晴らしさに気が付いているので、そこから色んな新しい物が出てくると思います。

ということで地域からどんどんこういったリーダーが育っているという例を、竹田市を例に挙げて説明しました。まとめると、「日本の地域の再生は若者にかかる。若者は異質の物とネットワークを結びなさい」ということです。

分野: 経営学 |スピーカー: 久原正治

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