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国際経営(2)

星野裕志 国際経営、国際物流

12/05/10


前回は国際経営という科目について全般的な事をお話しました。何故企業があえて海外との取引を進めて、さらにはグローバル展開していくのかを学ぶ分野です。

それでは、代表的な多国籍企業とは、どういうところになるのでしょうか。トップという基準は難しいのですが、売上高は一番分かり易いでしょう。それでいうと昨年のトップはウォルマートというアメリカのスーパーマーケットでした。毎年フォーチュンという雑誌が、ファイブハンドレッドという売上上位500社を発表していますが、これを基準にすると昨年最も売上が大きかったのがウォルマートです。2位がイギリスとオランダ合弁の石油会社のロイヤルダッチシェル石油です。3番目も同じく石油のエクソンモービルでした。どのぐらいの規模の大きさかというと、ウォルマートの昨年の売上は4,200億ドル、日本円で30兆円です。なんとなく実感が湧きませんが、例えば1国のGDPと比較をしてみると分かり易いと思います。世界で23番目にGDPの大きいのは台湾で4,300億ドル、24番がノルウェーの4,130億ドルですから、ウォルマートの売上は台湾あるいはノルウェー1国に相当するといえば、どんなに巨大か実感できるでしょう。それだけではなく、ウォルマートの従業員数は210万人ですが、これは名古屋の人口が227万人ですから、1つの会社が名古屋の人口に匹敵する従業員を抱えていることになります。

日本企業の多国籍企業の代表といえば、自動車メーカーのトヨタ、日産、ホンダ、あるいは日立、東芝、ソニーという会社がありますが、これら日本の企業も、以前はこのランキングの上位に進出していましたが、昨年はトヨタが8位になっただけで、他はあまり目立たず非常に残念です。逆に中国の企業が上位に進出しています。

企業の戦略としてグローバル化を前面に押し出している企業は多いのですが、国際化に対応する人材は常に求められていると思います。例えば私自身が就職活動をしていたのは30年前ですが、当時会社のパンフレットでは「国際的な企業」であることを売りにしていました。今ではグローバル企業であることをどこの企業も宣伝しているのではないかと思います。しかし、ソニーやトヨタのように本当にグローバルに活動をしている会社は、実はそんなに多くはないのです。海外と取引をしないとビジネスが立ち行かないことを実感としては考えるのですが、実はそうでもありません。2010年の日本の貿易依存度、GDPに占める輸出の割合は、14.1%でした。日本は海外から原材料を輸入して、加工生産して輸出する国だから貿易立国だと言われてきた筈ですが、実は日本のGDPに占める輸出依存度は14.1%しかありません。ちなみにオランダは62.7%、韓国は46%です。そう考えると日本は全てがグローバル経営をしているわけでもなく、実は相対的に、内需依存の国だということが分かります。以前から10%前後で、2009年には11.5%、1割にしか過ぎません。グローバル経営をしている企業は一部ですし、日本は円高の進行で輸出競争力が低くなるなど懸念されていますが、日本企業の輸出依存度はこの程度なのです。

ただ、日本市場はこれから益々小さくなってきますから、その活路を海外に見出さないといけないはずですし、いつまでも日本の中に留まっていたのでは成長を期待出来ないのも当然だと思います。その為には国際経営、
更にはそのグローバル化、多国籍化を必要としますが、日本ではその人材が十分に育ってきてないのが実態
でしょう。それには語学や経営の勉強も必要ですし、日本でしか通用しないビジネスのスタイルから脱却する
ことが必要です。ビジネススクールでは、これらの科目を教えて皆さんが海外で活躍できるビジネスパーソンが
育つことを期待しています。

今日のキーワードはグローバル化です。

分野: 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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