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地域の再生を考える(1)久留米のおかれた現状

久原正治 経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)

12/04/12

■久留米の町の衰退
18歳まで久留米で育って40年ぶりに久留米に帰ってのですが、非常に経済が衰退しているように感じます。私の家は町の真ん中にあるのですけども、商店やデパートがつぶれてしまって、商店街も人が全然通っていません。

私は経営学が専門で、どうすればその久留米や地方都市を再生できるのかをテーマとして研究しているので、ここから少し詳しい話をしていきたいと思います。まず、そもそも久留米の町や地方都市全体について、どういった特徴なのかを説明していきます。

久留米は元々工業都市として発展していて、ゴムの産業が中心で、それに商業が福岡県南部の中心として発達した町でした。これが両方とも衰退していったということです。衰退するとともに若者が働く場所が無くなっていったということがは、恐らく町全体が衰退する一番大きな原因になっていると思います。

若い人がいなくなり、労働者もいなくなって、町の活気そのものがなくなってしまいました。

■地域の再生は若者の力による
そこで再生に関して、特に久留米ですと、六ツ門商店街とか有名な商店街もあって、そこに遊びにいく人がいたり生活する人がいたりして、商店街の再生というのが再生のキーワードのひとつとしてあります。

ところが、商店街を再生するということは難しい。そもそも一旦衰退した商店街に人は戻ってくるって事は中々あり得ません。従って、発想をガラッと変えることが必要になります。

歴史を振り返れば、戦後の日本というのは、九州のような田舎から若い人を教育して東京に出して、そこである程度いい生活をして、最後に年をとってまた地方に戻ってくるようなモデルで来たわけです。そうすると、あらゆる人材が東京に集中してしまいます。

地方は、そういう資源、特に人的資源を結局、東京の為に生産する場所になっていました。そういう中で、なんとか製造業を残すことによって、地方の都市がある程度の繁栄を続けたわけです。けれども、最早製造業ではアジアに勝てないということになりました。そうすると、それと同じように町の中心の商店街というのも従来のモデルでは中々そのまま再生するということは難しいということなります。

それで、率直にどういう風に再生していけばいいものなのか。それをこれから何回かに分けて話していきたいと思いますが、基本はやっぱり若い人、それから若い人の感性、そういうものをどうやって育てるかということになります。

久留米には石橋美術館という立派な美術館が昔からあり、世の為人の為みんな働いて貢献しようということをモットーに成功した、石橋正二郎さんが集めた色んな絵がありました。特に青木 繁と坂本 繁二郎の絵が主なコレクションとしてあって、そこで優れた絵を見ると、我々久留米で育った若者は、世界に出て行こうという感じになりました。

そういうものから若い人の感性を育てて、人を育てて、それが今度は地域に貢献出来るようにどうやっていくか。こういう事が、恐らく久留米や、日本のあらゆる田舎にとって課題になってくると思います。

一方で、最近ですとB級グルメブームに象徴されるような部分でも、久留米は注目されつつあります。
私の家の近くにも焼鳥屋がいっぱいあって、煙が臭くてどうしようもないのですが、それくらい焼き鳥屋やラーメン屋で活気がある有名な町になっています。

若い人、東京から来た人は、久留米に来るとおいしいラーメンとか焼き鳥があるということで非常に喜んで来ますので、これは若い人を惹きつける手段のひとつとしては良いのでないのでしょうか。我々年寄にはちょっとラーメンと焼き鳥は難しいですけれども。

いずれにしても久留米には色んないいものあり、いい資源がいっぱいあるわけですから、そこをどうやってアピールしていくかが、やはり重要だということになります。

地域の資源は、まず若者であって、若者をどう活かすかということを考えなきゃいけない。これが一番大事なことです。

分野: 経営学 |スピーカー: 久原正治

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