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他流試合としてのオープンイノベーションのススメ(その2)(産学連携マネジメント/高田 仁)

11/11/23

前回は、オープンイノベーションの基礎的な考え方と、P&G社の取組みについて考察した。今日は、オープンイノベーションを他流試合になぞらえて、その意義についてさらに考察したい。

そもそも、他流試合で得られるメリットとは何か?次のようなことが挙げられる。
(1)己の実力を知る
→自社の技術力や経営力の水準を客観的に知ることができる(=自社能力の把握)
(2)己の実力を高める
→他社の高い技術力を導入したり、各種マネジメントのより良い手法を学ぶことに繋がる(=自社能力の向上)
(3)目的に合わせて相手を選べる
→自社が保有していない価値を持つ会社を、状況に応じて比較的自由に選択することができる(=適材適所による効率的経営)
(4)良ければ何度でも繰り返せる
→組んで効果の高い相手とは、長期的な観点からより頻度の高い付き合いができる(=ブランド力のアップ)

では、他流試合を成功に導く奥義は何か?まず、何のために他流試合をするのかという「目的意識を明確に持つこと」だ。何も考えずに不用意に他流試合に出ると、とんでもない格違いの相手にこてんぱんにやられることだってある。経営でも、ノコノコと他社に出かけていって、自社の貴重な技術やノウハウを盗られてオシマイ、ということだって起こりうる。従って、他流試合の目的や獲得目標をどれだけ明確化するかが重要となる。
次に重要なのは、「相手を選ぶ」こと。素性の悪い相手と他流試合なんかすると、逆に大けがを負わされかねない。時間や金ばかり浪費して、結局何のメリットも得られないことだってある。目的に合致しており、相手も他流試合の重要性を理解している、そういう信頼できる相手をきちんと選ぶことが重要だ。
最後に、高いレベルで相手にしてもらえるよう、「日頃から研鑽・鍛錬を積んで準備を怠らないこと」が肝要だ。自らが低レベルであれば、必然的に他流試合の相手も低レベルになる。低レベル同士で組んでも何の良いこともない。それなりのレベルの相手に試合をしてもらえるように、常日頃から研鑽・鍛錬を積んで、実力を上げておくことが欠かせない。高いレベルで他流試合を重ねていると、徐々に自社の評判が高まり、そのうち相手から他流試合のオファーが沢山舞い込むようになる。そうなればしめたものだ。

「オープンイノベーション」は流行言葉のひとつだが、その意味するところや奥義は判っているようで判っていない人もいる。でも、「他流試合」だと理解すると、日頃から何を準備し、どのように行動すべきかがよく理解できる。

日本には、破壊的イノベーションをもたらしうる経営資源を内部に保有している会社は少なくない。ぜひ積極的に「他流試合」を重ね、経営のレベルを上げてイノベーションの実現と経済の活性化に貢献してもらいたい。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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