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国吉澄夫教授一覧

2011年Fortune500に中国企業が61社入る(国吉澄夫/中国経済と産業)

11/08/02

今日は2011年のFortune500に中国企業が61社入ったというトピックをお話します。

■中国企業3社がトヨタの上位に
7月の初めに、アメリカのフォーチュン誌が恒例のFortune500企業を発表
しましたが、香港も含めて61社の中国企業が500位以内に入りました。
アメリカが133社、日本の68社に続いて国単位では第3位で、過去最高です。
しかも500社のトップ3は、おなじみのウォールマート、ロイヤル・ダッチ・
シェル、エクソンという世界の大企業ですが、中国企業のトップ3は第5位
に石油化学のSINOPEC(中国石化公司)、第6位はエネルギー系のCHINA
NATIONAL PETROLEUM(中国石油天然ガス公司)、第7位は電力関係のSTATE
GRID(中国国家電網公司)です。それに続く8位が日本企業のトップはトヨタ
ですから、トヨタより上に3社ランキングされています。2008年の資料は、
香港企業を除く中国企業は25社だけでした。今回は香港企業を除いても、
57社ですからGDP世界第2位の国にふさわしい躍進です。

■「国進民退」-国有企業の伸張
上位にランキングされた企業以外にも、中国工商銀行、チャイナモバイル、
中国鉄路局など、インフラ建設を中心にした大型の国有企業が中心です。
一方、民間企業では「華為」が352位、LENOVO(聯想)が450位で、500社
の中の後ろに付けています。中国でこうした国有企業が大幅に躍進している
ことを、国進民退、「国が進み民が退く」といいます。つまり国有企業が
伸びて、民営企業は退潮しているという意味です。一時期は国退民進と
いわれ、国有企業が駄目になっていくのに対して、民営企業は伸びていく
「国退民進」といわれていたのが、逆になりました。なぜ、そういう状況に
なったかというと、2008年の国際金融危機が起ったとき、中国政府は4兆元
の大景気刺激策を打ちました。これがインフラに向かったため、行政との
関係が非常に密接な国営企業が受注しました。

■売上高ランキングが真の実力?
エレクトロニクスの中国電子百強、トップ100が毎年発表されます。今年
6月2日に第25回目が発表されました。これは売上高、損益及び研究開発
能力の3つを総合的に評価したといわれますが、数字は発表されていません。
トップ3社は前出の華為、聯想(レノボ)、海爾(ハイアール)という
メンバーが占めていて、売上高大体1000億元以上としか発表されていません。Fortune500に入った国有企業と比べると、352位の華為の売上高は、フォーチュン
の発表では274億ドルで、日本円(90円)に換算すると約2.2兆円になります。
それに対して、フォーチュン第5位のSINOPECは2,734億ドルで約22兆円、
10倍です。トヨタが約20兆円、日立、ホンダが約9兆円ですから、中国の
国策会社の業種は違いますが、すごい結果です。やはり国と密接に関連して
いるところへお金が回っているようです。「国進民退」は、国有企業が進んで
民営企業が退潮しているということですが、売上増は4兆元の景気刺激策を
受けたインフラ投資の膨張なので、実額を示しているのかという疑いを感じ
ます。以前から中国の中では、Fortune500シンドロームといわれる、自分の
会社のポジションを上げるために猫も杓子も売上高を増やしてFortune500に
入ろうという悪しき傾向があります。そういう形で増やした売上高ランキング
が、真の経営力を図る指標かというのは疑わしいと思います。

中国電子百家は、トップ100の売上高ランキングをやめました。これは売上高
至上主義から脱却したというので意味があります。数年前売上高だけでは
経営の力は図れないと明言しました。Fortune500のやり方に一石を投じている
かもしれません。

分野: 国吉澄夫教授 |スピーカー:

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