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中国の電子情報産業~総論~(中国経済と産業/国吉 澄夫)

11/06/01

■日中経済協会の委員として産業レポートを書いています 

今日は中国のエレクトロニクス産業の最近の動向についてお話します。
私は(財)日中経済協会の日中経済交流委員会の委員を10年以上続けており、毎年、中国のエレクトロニクス産業動向についてレポートを書いていますので、今日はそれに関連してお話します。
まず、エレクトロニクス産業全体の動きとしては、中国政府の発表に拠ると、2010年中国の電子情報産業の売上高は対全年29.5%増の7.8兆元ですから、日本円換算約110兆円となります。これは、中国の工業生産高の中に占める比率は9.1%なのですが、輸出の37.5%を占め、非常に大きな比重を占めています。また、世界の製造大国として、カラーテレビ1.18億台、携帯端末9.98億個、パソコン2.46億台、デジタルカメラ9000万台、これらは何れも世界一の生産量です。

■世界一の電子生産国を支えるのは外資企業 

この中国の電子情報機器の販売を分野別に見ると、パソコンなどの電子計算機製造業が全体の30%を占め一番多く、次にコンポーネントを構成する電子部品産業が18.6%、ICなどの電子部品産業が15.3%、携帯端末などの通信設備産業が14.7%、テレビ、オーディオなど家庭用デジタル機器業が7.1%となっており、全体の72%、輸出では90%を外資が占める、となっています。つまり、これは、FOXCONNやソレクトロンに代表される台湾やアメリカのEMS(Electronics Manufacturing Service)と呼ばれる電子組立、コンポーネント企業、また、半導体ではファウンドリーと呼ばれる台湾など外資のチップ生産企業の存在が如何に大きいかを示すものです。
中国における外資企業のベスト100というのが、毎年発表されるのですが、手元にある2009年のデータによると、一位は先に述べた、EMS企業の代表で、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の中国における投資会社・富士康(フーシーカン)集団傘下の最大工場・鴻富錦(ホンフーチン)精密工業(深圳)という企業です。この富士康集団、通称FOXCONNと呼ばれますが、アップルからiPodやiPadの生産を一手に引き受けているので有名ですが、最初に深圳で工場建設したのが1988年、現在は広東省のみならず、長江地域、渤海地域、西部地域と30箇所以上の工場を持ち、従業員も90万人といわれています。世界最大のEMS企業で、フォーチュン500の112位に位置しています。

■第12次五ヶ年計画と産業構造の再編 

中国は今年から第12次五ヶ年計画が始まりますが、中国政府は世界最大の電子製造国になったといえ、まだまだ弱い自国産業の競争力を高めるために、産業構造の再編を通じて、内外のバランスの取れた発展、ブランド力の強化を図ろうとしています。また、発展のボトルネックと考えられている集積回路やキーとなる電子部品・材料・設備の産業を発展させ、パソコン、AV機器、通信機器などとの間に、産業チェーンを完成させようとしています。「自主創新」という言葉は引き続きスローガンとして使われて行くようです。
さて、中国の電子企業のトップ100についてですが、これも毎年発表されていることは以前にこの放送でも申し上げましたが、2010年にトップになった中国の企業は2年連続華為(HUAWEI)です。通信機器、端末のメーカーですが、売上1492.5億元(約2.2兆円)、経常利益率14.8%、研究開発投資が売上の11.7%、国際特許申請件数1847件(2009年)はパナソニックに次いで世界第2位という技術力の高い企業です。
この、華為に次いで、2位3位はハイアール、レノボと続いています。
次回、個別産業動向で、カラーテレビとパソコンのお話をさせて頂きますが、パソコンのところで、レノボのことに触れさせて頂きます。

分野: 国吉澄夫教授 |スピーカー:

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