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ACについて(マーケティング/出頭 則行)

11/05/05

■ACとは 

今日は、東日本大震災の後、よく耳にする、また目にするようになった、ACについてお話をします。東日本大震災の後、企業の広告活動が自粛されたわけですが、それに代わってACのコマーシャルがメディアに氾濫してしまいました。そのため、同じコマーシャルを何度もリピートして鬱陶しい、最後のACというサウンドロゴが煩いなどの苦情が寄せられました。その他にも、あれは税金の無駄遣いであるというような苦情まで寄せられたということで、どうやらACというのは政府の一機関と誤解されていることもあったようです。そのため、今日はACがどういうものかお話したいと思います。
ACはもちろん政府の機関ではなく、公的なお金は一切入っていません。ACといわれていますが、これは略称で、正式には社団法人ACジャパンといいます。このACはAdvertising Council の略で、一昨年まで公共広告機構と呼ばれていました。ACは1971年創設ですから、もう40年の歴史をもっています。現在、公益社団法人を申請して、おそらく認められるでしょう。

■ACの目的 

この社団法人ACジャパンの目的というのは「広告の持つ強力な伝達力、説得機能を生かし、社会の進歩と公共の福祉に貢献すること」です。理事長は今、サントリーホールディングの会長兼社長の佐治信忠氏で、昨年の5月の時点では1208社の会員社がいます。会員社は大きく分けると広告主であるところの企業と伝達を受け持っているメディア・媒体社、それから企画、制作している広告会社などです。ACジャパンの運営は、全てその組合費でまかなわれているので、公的な資金は一切受けていません。どうしても社団法人とか、公共広告機構という昔の名前が誤解を生んでいるようですね。
昨年度、正規のメディア料金で金額換算すると、ACジャパンの行った公共広告は800億円くらいの規模になります。その広告投資額からいくと、トヨタ、花王、パナソニックに並ぶ広告主といえます。違いは、この広告スペースは会員社であるところのメディアがその広告スペースを原則無償で提供しているということです。
それから、広告、その広告、コマーシャルの企画、制作に関しても、実費はこの社団法人ACジャパンが払うのですが、あとは、クリエーターも含めて無償の企画制作を行っています。今回のようなコマーシャルを自粛しなければいけないような事態になった時に、各放送局が通常のコマーシャルをACの公共コマーシャルに差し替えているわけです。

■2010年度採用作品の紹介 

通常どういう手続きでやっているかというと、7月から翌年6月までの1年間のキャンペーンということで、事前にキャンペーンテーマが決められて、そのキャンペーンテーマのもとに企画競合が行われます。そして企画競合に勝ち残り、ACの通常総会で承認されたものがACの公式コマーシャルとなります。それが、例えば、「あいさつの魔法」の“こんにちは、ありがとう、こんばんは、さようなら。まほうのことばで、たのしいなかまがポポポポーン”だったり、“「こころ」はだれにも見えないけれど、「こころづかい」は見える、「思い」は見えないけど、「思いやり」はだれにでも見える”だったりするわけです。あの仁科亜季子さんのものもその中の1つです。それが今、この時期に多くのメディアで放送されているのです。
過去のAC、公共広告機構時代からのコマーシャルを見ても、本当に色んなものがありますし、地域公共広告というものもあって、地域、地域で、独自のキャンペーンもやっています。

今、この東日本大震災の後、甚大な被害が明らかになるにつれて広告活動が自粛されたので、企業が用意していたスポットにこのACのコマーシャルが使われていて、公共広告が世に溢れ出してしまいました。公共広告に対する考え方、表現にたいする評価はさまざまでしょうが、ACが公共広告を企画制作実施する善意のボランティア団体であるということだけは理解いただきたいと思いますね。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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