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九州大学のアントレプレナーシップ・センター QRECの発足(1) (産学連携マネジメント/高田 仁)

11/03/09

昨年12月1日に、九州大学ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センターが正式設立された。今年4月からの講義スタートのために、現在、急ピッチで各種準備が進んでいる。

1月22日に開催された設立記念シンポジウムでは、米国のルース大使が九大伊都キャンパスに来てスピーチをされた。ルース大使は、アントレプレナーシップを日本に根付かせるために、次の6つのポイントを強調していた。
(1)挑戦者を褒めること
(2)セカンド・チャンスを与えること
(3)人材のモビリティを上げること
(4)多様性を持つこと
(5)グローバルな視野で見ること
(6)政府がしっかりとコミットすること
また、このシンポジウムには、私が1年前に滞在していたMITのアントレプレナーシップ・センターからのゲストをはじめ、スタンフォード大学やシンガポール大学、また米国では起業家教育で著名なカウフマン財団の関係者も集まり、皆で日本におけるアントレプレナーシップ教育の重要性や具体的な方法論について熱心に議論された。

そもそも、アントレプレナーシップとは何か?経営学で著名なP・ドラッカーは、「イノベーションを武器として、変化のなかに機会を発見し、事業を成功させる行動体系のこと」と『イノベーションと企業家精神』という著書の中に記している。

また、アントレプレナーシップ教育で有名な米国バブソン・カレッジのMBAスクールのディーンは、「現状維持に対する挑戦である」と言っている。いずれにせよ、現状に甘んじず変化の中に機会を見出し、そのチャンスをものにするために挑戦する、といった意味合いである。
日本語では「起業家精神」と呼ばれ、よく「ベンチャー企業を設立すること」と短絡的に理解されるが、必ずしも会社を興すことだけを指すわけではない。既存の大企業や公的機関、NPOなど、組織を問わずに「現状維持に対する挑戦」は求められるし、変化の中に機会を発見して事業を成功させる」ことは必要である。

問題なのは、このようなマインド・セットとスキル・セットを持った人材が、特に日本社会では十分ではないということ。特に最近は「草食系男子」とか「内向き指向」と揶揄されるように、他人の目を気にせずに積極的に挑戦する人が、特に若い世代で減っていると言われる。ニュースでも話題になったが、商社に就職しても海外勤務を希望しない社員も少なくないと言う。また、日本人の海外への留学が極端な減少傾向にあり、例えば、米国への留学生数は中国が約10万人、韓国が7万5千人でいずれも増加傾向なのに対して、日本は90年代の5万人弱をピークに減少傾向が続き、ついに3万人を切ってしまった。

人々が保守的で新しい挑戦が減ると、その社会は確実に停滞する。今の日本は、まさにそんな状況と言える。従って、社会でアグレッシブに活躍出来る人材を育成する目的で、九州大学はアントレプレナーシップの教育拠点として今回のセンターを設立することにした。
次回は、この設立の経緯や活動概要を紹介したい。

なお、2/19(土)13:30〜17:00に、天神岩田屋本館7Fの夢天神ホールで、主に学生さんや若手社会人を対象とした『私の学生時代・私のアントレプレナーシップ』と題したシンポジウムを開催するので、興味のある方は是非足を運んで欲しい。グーグルで「九大QREC」と入力するとウェブに情報が掲載されている。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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