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永池克明教授一覧

新興国小売市場の成長と日本企業の戦略(永池克明/国際企業戦略論)

10/06/15

これまで断片的に、具体的な企業が中国進出したという話は
ありましたが、今回は全体をまとめてみたいと思います。
世界の小売業といいますと、特に2002年以降大きく拡大しています。
その中でも特に新興国は、小売市場の成長が著しく、
中国を含むアジアとロシア、いわゆるブリックス(BRICs)
を中心としたシェアが大きく、これらの地域では、
2000年から2008年にかけて、市場規模が3・4倍に増えています。
そういう中、新興国の地場小売企業もどんどん増加し、
世界的なレベルの新興国小売企業の数は、2000年に7社でしたが、
2007年時点では16社と2倍強に増えています。
世界ランキングの1番から10番までは、ほとんどが欧米企業ですが、
日本企業はセブン&アイが16位で、イオンが21位です。
世界企業でいうと、ウォルマート、カルフール(Carrefour)、
メトロ(Metro)、ターゲット(Target)、テスコ(Tesco)など、
名立たるところが上位を占めているわけですが、
アジア或いはブリックス(BRICs)の地場小売業も
増加しているというのが特徴です。

もともと日本の企業は、国内の市場を中心に
販売してきたわけですが、国内が少子高齢化で
ほとんど伸びないどころか縮小しつつあるので、
企業によってはかなり早い時期に海外進出しましたが、
特に近年、それが本格化しているのです。
そのような海外の小売業の現地法人の数が増加傾向にあり、
海外進出が盛んになっていますが、地域的にいうと、
アジアが4分の3を占めています。
業種別では、衣料品専門メーカーなどの企業が増えており、
特にユニクロに代表されるカジュアルウェアなどの
製造小売業の企業が目立ちます。

一方新興国の独自の小売市場には、相当大きな伸びが期待できます。
中国が最も大きな市場ですが、これが新興国全体の4割以上を占めています。
中国の場合は人口が増えていることもありますが、
1人当たりのGDPの増加が進んでいます。
中国のデータで、1人当たりのGDPの額は、
日本の1970年代の前半に当たります。
インドやベトナムも後に続いていますが、
やっぱり中国は圧倒的に存在感が大きいということです。

中国の小売市場の現状ですが、所得水準の高い都市部の
住民が増加している地域が伸びています。
購買パターンからすると、上海や北京などの
若い世代が急速に勃興しています。
若い世代では、所得水準が高く高学歴という人たちが、
市場を引っ張っているといえます。

中国の小売市場を具体的な数字で見ていくと、
成長率が上昇し始めたのは2002年頃からです。
外資系の小売企業に対する規制が強かったのですが、
2002年頃WTOに加盟し、2004年に流通規制が撤廃されました。
それ以降、外資系の小売企業の出店が増加しました。

中国の小売企業売り上げランキングを見ると、
上位10位以内は、中国国内企業ではなく外資企業という印象です。
カルフール、ウォルマートなど欧米系の企業向けの企業です。
台湾のRTマート(大潤発)などアジア系の企業もランク入りしていますが、
中国系の地場小売企業も、大きなスーパーが次々と勃興しつつあります。
例えば、国美電器、アメリカや日本にも進出した蘇寧電気などの家電量販店、
百貨店系量販店の小売チェーン店あるいはスーパーなどが、
今、急速に伸びているといえます。
地場企業ですから、出店数や品数をどんどん増やし、
低価格ブームを推進しているので、これからますます
その存在感は大きくなっていくと思います。

先日も、レナウンが山東省の企業に出資を受けるという話がありましたが、
そういった動きもこれから出てくるでしょう。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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