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出頭則行教授一覧

授かり効果 (出頭則行/マーケティング)

10/06/02

ギリシャでの騒ぎが世界市場を揺るがせました。
IMFあるいはヨーロッパの中央銀行が資金を提供して
引き締めの勧告をしたわけですが、その勧告に従うことは、
自分たちの給与あるいは年金受給額が削減されることを意味するので、
ギリシャの人々は大反発しました。
その結果、国が迷走を続けるのではないかという懸念が市場に拡がり、
世界に激震が走ってしまったわけです。

話を変えて、例えば、株で100万円儲かるケースと
100万損をするケース。どちらも同じ100万円ですが、
損得どちらのインパクトが強いのでしょうか?
儲けた時は、順調だなと思う程度でしょうが、
損に転じた時には、精神的にもダメージを受けます。
100万円得したインパクトの深さより
100万円損した時のインパクトがより強いようです。

人間は既に獲得しているものを失うことに、大変激しく抵抗します。
僕自身もマイレージで家族を旅行に連れて行こうと、
飛行場に行ったのですが、チケットが確保されていないことがわかり、
その場で相当高い額で飛行機券を買うことになりました。
自分ではマイレージで獲得したと思っているものを、
実際は相当な額で買う羽目になったことは、結構激しいインパクトです。
損失についての反応は利得よりも激しいということが納得できました。

行動経済学で授かり効果と言われるものがあります。
授かったものを失うことに対しては、人は大変な抵抗を示します。
今ギリシャで起きていることは、それに近いものでしょう。
既にもらっている給与が減らされ、確定していると思っていた年金が、
削減されるなど、授かりものを失うことは、
大変にインパクトが強く、大きな抵抗をもたらすということなのです。

これをマーケティングに置き換えると、
例えば商品の値下げは、それほどインパクトがなくても
値上げに対する抵抗は大きいということがあります。

特に高級ブランドに関していうと、値下げは多分一方通行で、
1回値下げすると、需要が回復したから値上げをしようとしても、
大変な抵抗が出てきます。値下げされた価格という授かりものを失うことに
消費者が抵抗を示すからです。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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