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マーケティングと心理学2 (マーケティング/出頭則行)

10/03/31

今日のテーマは、購買後も広告は有効かということです。
通常は、アイドマ(AIDMA)の最後のアはアクションです。
消費行動の最後はアクションをもって終わるという意味で、
これがマーケティングの一連の流れとなります。
購買によってワンサイクルが終わり、
その商品に満足してブランド愛好者になれば、
マーケターとしては本望ですが、
広告活動は商品が売れた後も有効なのでしょうか?

例えば、高級自動車を買った時には購入後に
その広告を熱心に読むというデータもあるし、
同様なことは、高級腕時計などにも言えます。
何故なら購買という意思決定をしたわけですが、
それが、低関与・低価格の商品に関しては、
買って良かったのかと、購買選択を反省しないでしょう。
けれども高関与・高価格商品では、むしろ購買後に
必ずといっていいほど、自分の選択に疑問を感じ、
一種の不満感が起きてきます。
自分としては賢い選択をしてもなお、
購買後に心がざわつくことを「認知の不協和」といいます。

商品ではありませんが、マリッジブルーということが言われます。
結婚あるいは婚約という大事な決断をした後、女性はちょっと気分が塞ぐ、
成田離婚ということも言われています。
結婚でパートナーを選ぶ重要な決定をした後に、
自分の決定は正しかったかと心がざわつく、
これは「認知の不協和」です。

商品広告でいうと、むしろ購入後に
その商品により熱心に接することがあるわけです。
この認知の不協和理論に基づくと、
購入後も広告は有効だということです。
自分の意思決定が正しかったと安心させるという意味で、
購買後も広告は効果があると言えますが、
低関与・低価格商品は気にしなくてもいいでしょう。
一生に何回かという買い物に関しては、
購買後にその商品を買ったことを納得させ、
安心させる必要があり、それはブランドの
構築に貢献することになります。
何故ならば、ブランドは一種安心の証だからです。

認知の不協和理論はブランド広告を支える理論になりました。
何故ならば買ったことに対して安心感を与えると、
その商品のファンになるからです。
特に日本においては重要と思われることもあります。
日本ではトヨタ・プリウスだとかトヨタ・カローラといいますが、
その対抗馬であるGMでは、GMのビュイック、
GMのキャデラックなどとは言いません。
これらの事実に基づくと、日本においては欧米より
商品ブランドより企業ブランドの存在感が強いということです。
実際日本では、企業広告は欧米に比べると突出して多いのです。
何故なら企業広告が認知の不協和を解消する
役割も果たしているからではないと思われます。
会社が作っている商品、その会社に対する安心感を
与えているという意味では、企業広告は
認知の不協和を解消するものであるといえます。

認知の不協和理論は、広告に携わる人間には
強い武器となりました。
クライアントにアフターサービスとしての広告があり、
安心感を与えることがブランド作りにつながります、
という話を認知の不協和理論という言葉で
説明すると何となく納得してくれるからです。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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