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マーケティングと心理学1 (マーケティング/出頭則行)

10/03/30

マーケティングは基本的には、
人に物を買いたいと思わせる活動なので、
マーケティングと心理学は相互に支え合う間柄です。

たとえば、よく使われるAIDMAは、
アウェアネス(Awareness)、
アテンション(Attention)、
インタレスト(Interest)、
デザイヤー(Desire)、
メモリー(Memory)そして
アクション(Action)
の頭文字をとった消費者行動モデルです。
成功したキャンペーンを消費行動心理学の
観点から整理してAIDMAというフレームが出てきました。
そしてAIDMAというフレームが支えとなって
マーケティングキャンペーンを組み立てることもあり、
相互に支え合っている間柄です。

ネガティブ(誹謗中傷)キャンペーンは
アメリカの選挙での常套手段です。
特に大統領選前に共和党と民主党が候補を一人に絞る時は、
大々的に誹謗中傷合戦が行われてきました。
それにより多くの候補が脱落することになりました。
誹謗中傷で目に涙が浮かぶような人は
大統領にはふさわしくないと選挙民に判断されたわけです。

日本ではあまり馴染みがない比較広告も、
アグレッシブなものはネガティブキャンペーン
に通じるものがあります。
相手を貶めることで自分の価値を訴えるという意味では、
比較広告もネガティブキャンペーンと同じで、
アメリカでは非常によく使われる手法です。

今日のテーマは、ネガティブキャンペーンは
一体有効なのかということです。
心理学に、「スリーパー効果」という理論があります。
物事を伝達するときに伝達内容は2つに大きく分けられます。
1つは論点、もう1つは論点を支える付帯情報、
レトリック、トーン・アンド・マナー、論拠などです。
ネガティブキャンペーンがはしたないとして批判されるのは、
そのトーン・アンド・マナーあるいはレトリックです。
しかし、「スリーパー効果」に基づけば、一定時間の経過後、
人々の頭の中には論点のみが残ると言われています。
誹謗中傷合戦では相手の品性卑劣という論点があり、
それを色んなトーン・アンド・マナーあるいは
レトリック、論拠で伝えるわけですが、
「スリーパー効果」により、そのレトリック、論拠、
トーン・アンド・マナーは忘れ去られてしまい、
品性卑劣という論点のみが記憶に残ることになります。

話をまとめます。ネガティブキャンペーンには
一定の効果はあり得ますが、キャンペーン時期が大事です。

「スリーパー効果」理論では、時の経過の中で、
トーン・アンド・マナーあるいはレトリックが忘れ去られ、
論点のみが残るので、キャンペーンの初期の段階で、
コミュニケーション戦略に上手に組み込めば一定の効果は見込めます。
逆に戦挙戦の後半にネガティブキャンペーンを行うと、
はしたない悪あがきと思われてしまいますから
まさしくネガティブな影響を自ら被ってしまうことになります。

ネガティブキャンペーンに一定の効果あるという
話をしていますが、決してこれを推奨しているわけではありません。
アメリカの常套的な誹謗中傷合戦を日本の選挙戦に取り入れるのは、
私は良くないことと思っています。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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