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キャッシュフローについて (ファイナンシャルマネジメント/平松 拓)

10/03/03

今日はベーシックな話ですが、キャッシュフロー、資金繰りについてお話します。


■利益と倒産
財務的な観点から考えて会社が潰れないように維持していくために、
最も重要なことは継続的に利益を上げていくということです。
普通の会社は「継続」することが前提となっていますが、
そのためには利益を上げられる、ということが重要です。
単年度はともかくとして、何年も赤字が続くような会社は継続性に疑問があるということになります。

では、利益を上げていれば会社は潰れることがないかというと、必ずしもそうとは言えません。
ここ1、2年の例ですと、中堅の不動産会社が「黒字倒産」した、というような記事がよく出ていました。
つまり、利益が出ていても倒産することがある、ということです。

黒字倒産にも色々と理由があります。
最も典型的なものは、お金が続かなくなり、借り入れも出来なくなって、結
果的に債務の支払いができずに倒産するというケースです。
逆にいえば、たとえ利益が出ていない赤字会社でも、
お金が続いている限りは会社をつぶさずに維持することが可能です。

ですから極端な言い方をすれば、会社にとって利益が重要なのは、
お金を続かせるため、ということも出来ます。


■資金の管理
そのため、会社にとっては、資金の管理、キャッシュフローの管理は重要な意味を持っています。
会社には様々なキャッシュの流れがあります。まず、キャッシュの入り、
即ちキャッシュ・インフローから考えると、商品の販売代金の回収や、銀行からの借入、
社債の発行や株式の追加発行に伴う投資家からの資金などがあります。

一方、キャッシュの出、即ちキャッシュ・アウトフローとしては原材料や、
設備の代金の支払い、給料の支払い、借入金や社債の金利の支払い、
元本の支払い、税金の支払い、そして配当金の支払いなど様々あります。
多くの企業の場合、こうしたキャッシュイン、キャッシュアウトが毎日、それも数多くあります。


■直接法によるキャッシュフロー計算書
この流れを管理するために、「資金繰り表」や「キャッシュフロー計算書」などが通常用いられます。
例えば、「資金繰り表」では、売掛金や買掛金の決済、借入金の返済などの予定が記載され、
その結果として現金や預金の有り高の予定が分かるような形で管理されています。

こうした方法に基づいて実行額を集計、記載したものが、
直接法によるキャッシュフロー計算書ということになります。
これを見れば、実際の資金の出入りや預金も含めた有り高の詳細が分かります。
しかし、これだけではその会社のキャッシュ面での実力、すなわちその会社がその事業を通じて、
どれだけの現金の余裕を作り出しているかは分かりません。
また、何故その実力に対して毎月の手元資金が増減しているのか、その理由まではわかりません。
例えば、原材料コストの上昇など、利益にも影響のあるようなことが、
原因となって現金が減っているのか、それとも一時的な在庫の積み増しにより、
現金が減っているのか、こうしたことまではわかりません。


■間接法によるキャッシュフロー計算書
そのために、間接法と呼ばれる、利益からキャッシュフローを計算する方法も利用されています。

少し複雑ですが、税金を払った後の最終利益つまり当期純利益は、
配当金や役員賞与の支払いを別とすれば、長いタイムスパンで考えた場合に、
その年の成果として会社の中にとどまるお金、即ちキャッシュ面での余裕となるはずです。

ただ、長いスパンと言ったのは「利益」は会計上の決まりに従って、
実際の現金のやり取りとは異なる形で計上された結果なので、
一定の期間で区切って考える場合には少し調整が必要となります。
具体的には設備の購入や減価償却の調整が必要となります。
またその他に、実際の現金、預金の有り高を変化させる要因として、運転資本があります。
その企業の在庫や、代金の回収が行われていない状態である売掛金などは、
キャッシュを喰っている形になります。

この運転資本の変動が借り入れなどの金融面での取引とともに、
日々、毎月の現金、預金の有り高の変動の原因となっています。
こうした観点に着目して作成されるのが、間接法によるキャッシュフロー計算書、ということになります。
企業のキャッシュ面での実力と、現金・預金の有り高の変動の背後にある理由が、
この間接法のキャッシュフロー計算書だともう少し見えてきます。

会社を資金の不足で潰さないためには、こういった方法を利用することも有用かと思います。

分野: 平松拓教授 |スピーカー:

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