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岡田昌治准教授一覧

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司法試験制度(国際企業法務/岡田昌治)

08/11/03

■今年の新司法試験の合格発表

今年は9月11日が司法試験の合格発表の日でしたが、
悲喜交々のようでした。
ネットで4時半に合格発表があり、4時半過ぎに卒業生、
合格した学生から電話がかかってきました。
学生の中には、今度が3回目の受験という学生もいまして、
九州大学のロースクールで成績トップの子でしたが
試験と相性が合わず、1回目、2回目と落ちていました。
実は、新司法試験は3回しか受けられない制度になっています。
5年の内3回受験のチャンスがあります。
その人にしては、これが最後の受験でしたので、
その人の合格は、私としても本当に嬉しいものでした。


■合格率の推移

結果、九州大学の場合は合格者が38名。
105名が受験して、38名の合格者で、率にすると36%位になります。
全国平均が33%位でしたので、
全国平均よりは上回っていて、良かったです。
しかし、他の大学にいたっては、合格率や絶対数が
1桁というような大学も出ています。
昨年度から言われているのは、既に定員割れをしている
大学もかなりの数出てきているということです。
最初、法科大学院が設立された当時は、
合格率自体が7割、8割というふれこみで設立されました。
それに希望を持ち、社会人をやめて、貯金をはたいて、
奥さん、旦那さんを説得して、もう一回挑戦してみよう
という方々がたくさんおられました。
新司法試験制度は、今回で3回目ですが、合格率が、
去年45、6%で、今年で33%と年々下がってきています。


■司法試験のひずみ

合格率は、どんどん下がっており、更には法科大学院自体も
廃止するというところも出てきそうな状況です。
もともと司法改革、司法制度改革の一環として、
法科大学院(ロースクール)が作られました。
司法試験は、ロースクールを出ないと、試験さえ受けられない
というような司法制度改革にのっとった制度でした。
司法試験についても、従来1200人前後だった年間合格者数を、
2010年までに3000人まで増やすということでした。
この司法制度改革の中でのロースクールや
新司法試験でしたが、実際に蓋を開けてみると、
色々なところでひずみが出てきたということになります。


■ロースクールの方向性

今年の試験についての統計は、まだとられていませんが、
昨年度の分析からいくと、やはり法学部出身者、
もしくは、旧司法試験をずっと受けてこられて、
司法浪人されていた方が強いです。
どこの大学のロースクールも、
司法試験の試験予備校の方向に向かっています。
要するに、試験の為の科目、あるいは
試験の為の教え方に変わっています。
もともとの設立当時のロースクールに対しての期待は、
『人間味のある法曹人、人の痛みの分かる法曹人を育てましょう。
国際的な広い視野を持った法曹人を育てましょう』ということでした。
日本の法科大学院自体が、アメリカから輸入したシステムで、
アメリカのロースクールの発想があったはずですが、
今では、どこにいったのだろう、という感じにはなりつつあります。

しかし、日本には、今の体制の方が
合っていると思うときもあります。
何故かというと、1つには、試験自体が非常に難しいのです。
ロースクールの学生達のために、校舎は24時間開いていまして、
自修室が24時間使えるようになっています。
そのような自修室で、彼等は勉強しているのですが、
その位勉強しても、狭き門というのは変わりません。
また、試験の内容自体が非常に難しいということがあります。
その上、そのような難関を突破した先に、
夢や希望を抱いていた仕事が出来るのかというと
必ずしもそうでもなさそうな現状です。

分野: 岡田昌治准教授 |スピーカー:

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