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マーケティング戦争 (マーケティング/出頭 則行)

08/08/27

■マーケティングと戦争

マーケティングは、
戦争になぞらえて語られることが多くて、
マーケティングウォーという言葉もあります。
またマーケティング用語自身も
軍事用語に随分近いものが多いのです。
ターゲットとは、標的のことです。
また、ロジスティクスという言葉は、
マーケティングでよく使われますけども、
これは兵站という意味もあります。
あるいはストラテジーとか、
スタティスティクス等々の言葉が、
マーケティングで使われるように、
戦争に例えられることが多いですし、
軍事用語との親近性も高いですので、
今日はマーケティングウォーという
話をしたいと思っています。


■アメリカ大統領候補の指名争い

今回は、ヒラリー・クリントン氏と
オバマ氏のお話を題材にします。
一時期、ヒラリー氏が
絶対優勢と言われていましたが、
最終的にオバマ氏が
民主党の指名を獲得しましたから、
アメリカ政治は、
やはりダイナミックだと思います。
当時はまだ候補者争いでしたけれども、
このオバマ氏とヒラリー氏の戦いは
まさしくマーケティングウォーというに
相応しいものでした。

アメリカの大統領選挙は
ビジネス行為に近いものがあって、
例えばコマーシャルを多用したりします。
選挙参謀に広告代理店のスタッフを入れたり、
あるいはパブリシティの専門家を
入れたりしますので、
まさしくマーケティングウォーの様相を呈しています。
彼らは各州の判定が出るごとに、
大変詳細な分析をしますし、
どのようなプロフィールの人達が
票を投じていて、どこが弱いのかを分析して、
それが次の政策発表に反映されたりします。
これはまさしくマーケティング的なやり方と言えます。
諦める地域はスパッと諦め、
この州は絶対取れないと思ったら
次を取りに行きますし、
全く捨ててしまうような州が出てくるという点では、
アメリカの大統領選挙は
非常にマーケティング的に戦われていると思います。

取り込むべき有権者は
票田と言われています。
彼等は票田をめぐって争っています。
彼らにとって、票田というのは、
開発や獲得するものであって、
まさしく顧客の開発獲得と同列で
語り得るものであろうと思われます。
大統領候補者にとって、
票田は、言うなれば、カスタマーです。
それをどうやって取り込むかは、
顧客を取り込むのと非常に近い世界なので、
マーケティングウォーというのは、
あながち誇張でもないかなと思います。
結果的には、黒人ではあるけれども、
白人の中間層を取り入れたオバマ氏が
指名を獲得しました。
ヒラリー氏自身は、
白人の貧困層に強かったのですが、
中間層をなかなか取り込めなかったことで、
オバマ氏の勝利となりました。


■共生のマーケティングへ

今日はこのようにマーケティングを
戦争になぞらえるのが正しいのかという角度から、
切り込んでみたいと思います。
マーケティングは、よく戦いに擬せられたり、
あるいはゲームになぞらえられたりします。
ゲームというのは、碁だとか将棋だとかポーカーです。
勝ち負けで優劣を決めるというようなことに、
我々は慣れていますから。
しかし、勝敗だけがすべてかというと
そうではないようです。
ヒラリーが民主党の指名争いを
最後まで戦わずに撤退したことの理由の1つとして、
民主党という、自分の地盤を守り、
マーケットの底割れを回避したということがあります。
おそらく、まだ彼女は諦めておらず、
自らのブランドを維持するために、
今回は攻撃的なチャレンジャーであるよりは
対立するオバマ氏と共生することを決断して、
次の機会を狙っているであろうと想定されます。

このように、ヒラリー氏の場合も、
次の次を狙って共生の道を選びました。
政治の世界でも、勝ち負けだけではないわけです。
そして、マーケティングでも、
この頃頻りにサステナブルマーケティング、
持続可能なマーケティング、
共生のマーケティングということが言われ始めました。
次回はこの共生マーケティング
というお話しを続けたいと思っています。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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