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マイクロソフトとヤフー(財務戦略/村藤)

08/03/28

■買収提案と過去の経緯
2006年や2007年
マイクロソフトは複数回、
ヤフーを統合しようとしていましたが、
なかなか合意には至りませんでした。
ヤフーの経営状況はなかなか改善せず、
一方ではグーグルが攻めてくる。
心配になったマイクロソフトは、
遂にマーケットの値段に62%のプレミアムを付けて
ヤフー株を1株31ドルとして、
全部合わせると約4兆7千億円の買収提案を出しました。


その一方EUでは、
2004年頃からマイクロソフトに対して
制裁を始めています。
マイクロソフトのOSのマーケットシェアは
9割以上で、営業利益率は8割のドル箱商品です。
ヨーロッパの欧州委員会は、
競合他社が互換性のあるソフトを
開発するための技術情報を開示するように、
そうでなければ罰金を払いなさい、
と命じ、2004年と2006年に
2回罰金を払わせました。


2008年2月には、
マイクロソフトがタイムリミットを
破って情報開示をしなかったために、
1,440億円の制裁金の支払いを命じています。


マイクロソフトのOSは、
圧倒的なシェアを占めていますが、
最近はグーグルが無料ソフトを
提供しはじめたために、脅威を感じているようです。
営業利益8割のOSを提供している
マイクロソフトとしては、無料で配布されては、
たまったものではないですよね。
マイクロソフトもグーグルに対抗して、
自社でインターネット事業をしていますが、
大きな損失を出しているようです。


■マイクロソフトのインターネット事業
インターネット事業のシェアを見ると、
1位がグーグル(60.8%)、2番がヤフー(14%)、
3番が中国のバイドゥ(5.3%)です。
そして、4番にマイクロソフト(3.6%)がきます。
そういう意味では、マイクロソフトは
ヤフーと組んでもグーグルには追いつかない
という状況にあります。
一方、グーグルは検索連動型広告で
かなりの収益を上げており、
その利益から、これまで
マイクロソフトが有料で提供してきたソフトなどを
無料で提供すると言っています。
それでマイクロソフトは、
いやでたまらないわけです。


では、マイクロソフトの
ヤフー買収の目的は何なのでしょうか。
マイクロソフトのインターネット事業では
1年で800億円位の赤字です。
ヤフーを買収することによって、
そのコストを1千億円位合理化できるのではないか、
と考えているようです。
おそらくヤフーを買収しても、
グーグルには及ばないとしても、
いくらか近づくことになることを狙っているのでしょう。


■ヤフーの状況
今回の買収の提案についても、
グーグルそのものがヤフーの
ジュリー・ヤンに電話して協力を要請した
という噂もあります。そしてソフトバンクの孫さん。
彼は日本のヤフー株を40%位持っており、
アメリカのヤフー株も4%位持っています。
グーグルがKDDIと携帯で組んできたところなので、
携帯事業で対抗するために
ヤフーを使おうとしており、
マイクロソフトの買収に口をはさみたいようですね。


もう一つ、ニュースコープが
マイペースドットコムというサイトを持っていますが、
これをヤフーに統合して20%位出資する
筆頭株主になろうという提案をしているそうです。
更に、タイムワーナーが出てきて、
ヤフーとタイムワーナー傘下の
アメリカ・オンライン(AOL)を統合しようという案も
出ています。昔はマイクロソフトの時代でしたが、
最近はグーグルの時代となっていて、
どうやってグーグルと対抗するかを
皆で考えている状況といえます。


■ヤフーのこれから
これから先、ヤフーが
単独で経営していくのは、かなり難しいでしょう。
株主がマイクロソフトより
いい案を出さないと許さないでしょうから。
その相手が一体誰なのか。
グーグルなのか、ソフトバンクなのか、
ニュースコープなのかアメリカ・オンラインなのか、
という選択肢になってきています。


では、なぜヤフーが
マイクロソフトの提案を断ったのでしょうか。
私であれば、マイクロソフトの提案にのれば、
千数百億の現金と株が入りますので、
お礼を言って一生優雅に暮らしたいと思います。
しかし、彼らは既に大変なお金持ちですから、
もうお金の問題ではないのでしょう。
グーグルはやっつけたいし、
インターネットで主導権をとりたいが
マイクロソフトだけは嫌だということでしょうね。


最近、グーグルの
検索連動型広告で全てが
席巻されている状況です。
グーグルが、その利益を元に、
他のものを無料で提供しはじめて、
すべてがひっくり返って大騒ぎになっています。
これからのインターネットでの
再編や統合も注目してよいと思います
。あと、ソフトバンク、ドコモ、KDDIといった
携帯事業もこれからどうなるか、おもしろいところです。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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