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契約について(国際企業法務/岡田)

07/12/24

■英文契約書
私は法科大学院の授業で、
「契約実務」という科目を教えています。
その授業は、英文契約書の
イロハといいますか、
基本について教えています。


■身近になってきた契約書
というのも、最近、
これをお聞きの皆さんの身の回りにも
起きている現象だと思うのですけども、
いわゆる契約書というものが
身の回りの生活や、
あるいはビジネスの中で
本当に段々身近なものになってきました。
昔は日本のビジネス、
あるいは日本人の生活の中では、
契約書というものは、
あまり、無縁のものであったように思います。
例えば、仕事で契約書を交わしましょうとか、
あるいは前も言いましたけれども、
守秘契約とか秘密保持契約などを
交わしましょうと言うと、
そんな堅いこと言わなくて
いいじゃないかというのが常でした。


それが、最近変わってきています。
この背景にあるのは、
よくいわれるコンプライアンス(法令遵守)や
ガバナンス(企業統治)、
あるいはリスクマネジメントといわれるものが
ビジネスにおいて重要視されてきており、
また、、個人の生活をも巻き込んだ中での
リスクマネジメントなどが入ってきたりして、
契約書あるいはなんらかの文書により
リスクヘッジをするというやり方が
次第に日本のビジネス、あるいは生活の中に
浸透してきてます。


最近、契約約款とか利用者約款を、
小さい字で書いて意識させないで
契約させること自体を違法にするという
お達しがでました。
例えば1つの良い例がwebでの契約行為です。
webでにおいて、当該契約への同意について、
相手が十分に理解するような、
誘導の仕方をした上で同意するか、
しないかを聞くという方法をとってないと
実際の契約的効果は認めない
というような判例も出ています。


実は、今までにも、あまり
意識しないままに、
さまざまな契約書を、
交わしているケースが、
沢山あったということです。

契約当事者同士が
あまり契約の効力というのものを、
意識してなかったので、
それで済んでいたかもしれないですけど、
これから、例えば
一方が先にそれを意識し始めると、
その契約を、自分を守るための盾あるいは
矛に利用してくるようになります。。
他方の当事者は
その時に非常に困った立場に
追いやられるという状況に陥る可能性が
出てきます。
そういう立場にならない為にも、
契約をする際には、
面倒臭くてもちゃんと読んで、
それを理解した上でサインするということが、
これから大切になってくると思います。


日本においては、契約書というと
数ページの簡単なもので、
その契約書に書いてないことは
お互い友好的に
解決していきましょうということで
概ね済んでいたと言えます。


ところが、次第に契約書の重要性が認識され始め、
では、一体、どういう条項、条件が
必要なのかということになってきた現在、
参考になるのが、実は、
英文契約書なのです。


■欧米の契約書
なぜ英文契約書が参考になるかというと、
以下のようなことが言えると思います。
欧米社会というのは多民族国家です。
言語、習慣も違うし、文化も違う。
そういう国と国、あるいは人と人、
組織と組織が出会って、
何らかの決め事をする際に必要だったのが
契約書でした。
それに反して、日本という、
以心伝心が尊ばれる、、
ホモジニアスな国家の中で、
契約書というものは
それほど、その必要性・重要性が
認識されませんでした。
ところが、最近、その日本においても、
欧米化やグローバル化によって、
そして、また、世代間の格差や、
あるいは地域格差などにより、
さまざまなダイバーシティ(多様性)が
日本の社会にも出てきて、
先程の以心伝心が
なかなか通じなくなってきています。
また、社会的な要請として、
リスクマネジメントというような
法的なリスク管理が企業として
必要な状況になってきている現在、
今までのような2-3ページの契約書じゃ
ちょっと済まないよということに
なってきていると言えます。

分野: 岡田昌治准教授 |スピーカー:

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