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鈴木右文准教授一覧

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英語の子音:弾音化(異文化コミュニケーション/鈴木)

07/12/05

今日は、アメリカ英語と
イギリス英語の違いについてお話しします。


■アメリカ英語とイギリス英語
アメリカ英語とイギリス英語では、
用いる単語が違うことがあります。
例えば日本語で言う「エレベーター」は、
アメリカでは「エレベータ」ですけど、
イギリスでは「リフト」と言います。
日本で「リフト」と言うと
給食を運ぶような
人間が乗るものではないですよね。
そういうような単語の
違いなんかもありますが、
今日はアメリカ英語と
イギリス英語の音の違いから始まって
この間の摩擦音の応用編を
少ししてみたいと思います。


例えば日本語で言う
「ホットコーヒー」を例にとります。
イギリスでは両方とも「オ」の系列で
「ホットコウフィ」です、
アメリカだと「ハットカァフィ」、
母音の音が違ってきたりします。


日本人の場合、どちらかというと
イギリス英語的な音の方に
慣れているので、
そっちで発音することが多いです。


その他ですね、アメリカ的な
気取らない発音と言いましょうか。
アメリカでは実は音がくずれてきて
融合したりしてきてですね、
なんか訛っているのか、
くずれているのかって感じの
音に聞こえることが多いです。


イギリス英語では
クイーンズイングリッシュ等と言って、
堅い感じに聞こえる発音が
多いというような差もあります。
一つだけ例を出すと「それは出来ないよ」
という意味の「I can’t do it」が、
アメリカ英語では
「アイ キャント ドゥ イット」、
イギリス英語で言うと
「ア カァント ドゥ イット」となります。
イギリス英語の方は、まるで
エリザベスⅡ世がしゃべっている感じでしょう。


■アメリカ英語の発音のくずれ
そういったように、
イギリス英語とアメリカ英語は
ずいぶん違うのですが、
今日は、アメリカ英語にあり、
イギリス英語であまり無い発音の
くずれの現象を紹介したいのです。


これは、前回やりました
破裂音のtとdの音に関することなのです。
専門用語では弾く音に
化けると言って弾音化と言います。
tとdの音が、母音に挟まれた時に
アメリカでは音の変化が生じるという話です。
ひとつ分かりやすい例を出しますと、
よく日本語で「シャラップ」といいますよね。
これは英語の「だまれ」という意味で、
「シャット(shut)」という動詞と
それから副詞の「up」
これがくっついているわけですが、
そのまま読んだら「シャットアップ」ですよね。
コンピュータの「シャットアップ」ですよね。
ところが日本語でも「シャラップ」
と言うのは、アメリカ英語で
「シャットアップ」と読まずに
「シャラップ」と読む人が多いからなのです。
ここで何が起きているかというと、
tとそのあとのupのaがくっついて
「タ」になって「シャッタップ」
になるところまではいいと思うのですが、
アメリカ英語で特に早くしゃべると
それがもっとさらに進んで
「シャラップ」と読みます。
このメカニズムの細かいことは
音声学者に任せればいいのですが、
ようするにTとその次の母音が合わさって
日本語のラリルレロに近い音になるんです。


他にもいろいろ例がありまして、
日本語に絡んでいる例でいうと
「プリン」と「プディング」があります。
これは両方とも英語では元々
「pudding(プディング)」でdの音なのです。
このdの音が残ったやつで入ってきたのが
日本語で「プディング」です。
ところが日本語で言う「プリン」、
プッチンプリンのようなものですが、
あれはこのdの音が弾音化によって
ラリルレロのリに変わって、
最初に聞いた人が「プリン」と
聞こえたのでしょうね。


このtの音、他にたくさん例があって、
いくつか紹介します。
例えば「get」のing形「getting」
「ゲッティング」が、
「ゲッディング」になったりします。
それから「それをそこに入れなさい」
という意味の「put it in」は、
イギリス英語だと「プットゥ イトイェン」
となるでしょうが、さっきの弾音化を使うと
「プッレレン」「プッレレン」となります。


それから「起きろ」と言うときの
「get out」が「ゲッラプ」になる
というような音の変化です。
これは実はですね大学時代にこういうやり方を
端的に教えてくれた先生がいたのです。
この方が、さっきの「ゲッティング」だと
「ゲリング」になるので、
これを「ゲリゲリ法」と呼んでいたのです。


■ゲリゲリ法
「ゲリゲリ法」という
名前を付けたわけではなくて、
いろんなところでそういう
おもしろい名前の付け方ができるのです。
これはゲリゲリって読むのだと
いうふうにして教えてくれたりして、
それからこれはいつかどこかで
しゃべってやろうと思って、
大学でも授業で紹介しています。
とうとうラジオでも
しゃべってしまいました。


ラ行を使うというのは便法なので、
本当はラ行と全く同じと
いうわけではないというのが
ちょっと難しいところですが、
ラ行を使っただけでも通じますからね。
お勧めはしませんが、
こういう発音に出会ったときには、
あまりたじろがないですむかなと思いますね。


特にさきほどご紹介したような単語は
よく使われるようなものですからね。
是非また、あらためてみなさまも
発音をしてみてください。

分野: 鈴木右文准教授 |スピーカー:

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