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鈴木右文准教授一覧

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ケンブリッジ大学での英語研修(6) (異文化コミュニケーション/鈴木)

07/10/03

ケンブリッジ大学での英語研修について、
その中でのユニークな体験と勉強法について、
シリーズでお話してきました。
最終回にあたる今日は、
異文化との交流を英語の勉強も含め、
お話したいと思います。


■現地スタッフとの交流
まず、
現地の人々との交流について、お話します。
ケンブリッジ大の学生アシスタントの方の中に、
九大グループの印象がとても良いからと、
毎年応募して、担当してくださる方がいます。
現地では、そのアシスタントの方を中心に、
様々な面で丁寧な
お世話をしていただいています。
アシスタントの方々と
九大の参加学生との間には、
とても充実した交流が行われており、
世話をしている私としても、
非常に好ましく眺めています。


学生アシスタントの方は、
研修終了後も九大の学生と
メールを交換されているようですし、
毎年必ずといってよいほど、
日本へ遊びに来てくださっています。
これほど良好な関係を
結ぶことができる背景には、
ケンブリッジ大の学生の方々の
魅力があると思います。
もちろん、
世界クラスのケンブリッジ大学の学生
だということもありますが、
九大の学生の目には、
彼らはとても大人に映るようです。
東洋人は概してそうなのですが、
九大の学生達は、酒場に行っても、
中学生くらいに見られ、パスポートの提示を
求められることがあります。
ケンブリッジ大の学生は、
外見だけでなく、考え方もしっかりしているし、
何より一般教養を深く身につけています。
彼らから受ける刺激はとても貴重です。


具体的にいえば、ケンブリッジ大の学生に、
芸術の話や最近の映画のトレンドの話など、
様々な話題を振ってみますと、
たいてい自分の意見を持っています。
「それについては全然わからない」
という分野が沢山ある日本の学生とは
異なるところです。
ケンブリッジ大の学生は、
「知らないことがある」ということに関して、
恥ずかしいという想いが強いのでしょう。
立派だと思います。
日本の学生は、
自分を表現することが下手な上に、
教養の守備範囲が狭いですから、
もっといろいろなことに
興味を持つべきだと思います。
大学の4年間で、
専門知識を学ぶことはもちろん大切ですが、
教養の幅を広げることも絶対に必要です。
今回の研修が、自分達の教養の幅を広げる
契機になることを願っています。


■現地の人々との交流
ケンブリッジ大の学生アシスタントの方々以外にも、
現地の人々との貴重な交流がありました。
例えば、英語の授業の中では、
街角インタビューを実施し、
街角の人達の意見を聴取して発表する
という実習を行いました。
この実習は、現地の人と会話をしなければ、
成り立たない仕組みになっています。
その他にも、学生達は週末旅行での訪問先で、
現地の方と仲良くなり、パブで話をしたり、
撮影した写真を見せ合ったりなど、
様々な形の交流があったようです。


イギリスの人々は、
気さくに会話をしてくれる方だと思います。
街角インタビューでは、
質問にきちんと答えてくれた人が
8割程度いました。
多くの人が、立ち止まって
話をしてくれるようです。
面白いエピソードとして、
「ケンブリッジで気に入っている点は
どんなことですか?」という質問に対し、
「あなたのように、
街角でインタビューしてくれる人が
いるから、ケンブリッジは好きだ」と
回答した方がいたそうです。


■研修参加者の変化
最後に、今回の研修を通じて、
学生達にみられた変化について述べ、
研修の意義をまとめてみたいと思います。
もちろん、一番の中心は英語研修です。
英語を使いこなせるようになった暁には、
どれほど素晴らしいことが、
世の中で待っているのかを、
身をもって知ることが第一の意義だと思います。


それに加えて、異文化に触れる経験が、
人生においていかに大切なことであるか、
知って欲しいと思います。
自分の文化圏にいるだけでは、
自分がどういう位置にいるのかがわかりません。
つまり、自分を相対化することの必然性・必要性が、
イギリスではひしひしと感じられてきます。
この研修の後、
英語圏に積極的に留学を希望する学生や、
英語圏以外の外国へ出かけて
自分のコンテクストを広げたいと思う学生もいます。
そうした学生達が、
九大の交換留学や正規の留学を目指すケースが
後を絶ちません。


現に、いろいろなイギリスの大学へ
進んでいる学生もいます。
中には、アメリカのMITの博士課程に留学したり、
東大のロースクールへ進学するなど、
一大決心をして、非常に高いレベルの所へ
旅立つ学生達も多いのです。
それを見送る私としては、
この研修をきっかけに、学生達が良い所に
巣立ってくれていることを実感します。
彼らが、
「ケンブリッジ大学英語研修が、
自分の道を踏み出す契機になりました」と、
挨拶に来てくれることがあります。
その時は、この研修を実施して良かったと、
心から感じられる瞬間です。


海外で異文化に触れることにより、
自分の考え方を改めて問い直し、
自分を信頼することが
できるようになるといえるでしょう。
事前研修から始まった長い期間の努力が、
どういう風に実を結ぶのか
ということが見えてきます。
自分を磨くということが、
自分にどれだけ幸福をもたらすのか
ということが理解できます。
私は、何か、
幸福を切り売りする商売をしているような
気になることすらあります。

分野: 鈴木右文准教授 |スピーカー:

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